Speaks vol.43  <<自信を持つには>>

「自信が持てない」「自信がほしい」という声をよく聞きます。
では、どうすれば自信を持てるようになるかというと、
よい結果を出したら自信が持てると、一般的には考えがち。
テニスでいえば、試合で勝ったら自信がつくという捉え方です。

しかし、テニスの試合で最終的に勝つのは、ただ1人。
それ以外の人は自信が持てないのかというと、
決してそんなことはありません。

そもそも自信とは「自分を信じる」という意味のことで、
結果に左右される筋合いのものではない。
信念を持ち、自分を信じて物事に取り組む過程において
自分に見合った結果が出てくるのであり、
それは文字通り「結果にすぎない」のです。

自信には2種類ある、という理解が必要。
一つは、「結果に依存する自信」。
そしてもう一つは、「結果を生み出す自信」。
前者は、テニスでいえば勝敗により一喜一憂する不安定な自信。
後者は、もともと確固とした自信があって、結果を生み出すものです。

結果は過程であって、ゴールではありません。
勝つことが結果だと考えると、
いつまで経っても自信は備わらないのです。

「自分らしさ」がキーワード。
人の意見に振り回されると自信が持てないのと同じです。
勝ち負けに自信の根拠が振り回されるのだとしたら、
「自分らしさ」を見失うから自分が信じられなくなるのです。

もちろん、人間ですから勝負ごとには勝ちたい。
だれしも「結果に依存する自信」を持ちたがっています。
しかし、結果という見た目にとらわれるあまり、
「自分はこうするんだ」という信念が揺らぎ、自信が根付かなくなるのです。

「自分はこうするんだ」という信念を持ち、
自分らしさを見失わずに物事に取り組む姿勢こそ、
自信を獲得する確実な方法です。

しかし、そうしているにも関わらず、
自信が結果を生むに至らないという人もいます。
そんな人は、どうすればよいのかというテーマで、
次回は話を進めていきたいと思います。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広