Speaks vol.228
<<あなたはどっち派?>>
たとえば、10球打つ練習をする。
それを10回繰り返せば100球になるから、
「これだけ打てば、何か変わるよね」と思っている人がいます。
一方、10球打つ練習をするのは同じでも、
「あーかな?」「こーかな?」と考えながら打つ人がいる。
それを繰り返しているうちに、
「気づいたら、いつのまにか100球打っていた」となる。
結果的には同じ量の「100球打った」だけど、
両者の間には、大きな質的な違いがあると思うのです。
前者の「これだけ打てば、何か変わるよね」という人たちは、
とにかく100球という「ノルマをこなそう」とするテキパキタイプ。
一方、後者の「いつの間にか100球終わっていた」という人たちは、
100球という数にこだわらず、
そのプロセスにおいて「何か分かろう」とするモヤモヤタイプ。
両者は、目的が違うのです。
あなたはどっち派でしょうか?
テキパキタイプの目的は「100球打つこと」であり、
モヤモヤタイプの目的は「上達すること」と区別できます。
仕事にたとえると、分かりやすいかもしれません。
商品を売るのにノルマを設定し、
テキパキと営業を100回かけるタイプがいる。
一方、どうすれば売れるかを、
「あーかな?」「こーかな?」と考えながら商談を続けているうちに、
営業数が100回に達してしまうタイプがいる。
テキパキタイプは、
「これだけやればそのうち売れるよね」というどこか「他人事」である一方、
モヤモヤタイプは、
「どうすれば売れるだろうか?」の課題と向き合う「自分事」のように、
僕には思えます。
どちらが正解・間違いというわけではないけれど、
自分を知る判断基準のひとつとして、役立てられるのではないでしょうか?
またレッスンの現場に携わっていると、
「いつも同じこと言われているよねー」とささやかれる声が、
よく耳に入ってきます。
こういう人たちも先の例になぞらえていえば、
10球打つことが「ノルマになっている」と推察されます。
たとえば「下から上へ振りましょう」と指導しても、
「それだとボールが上に行っちゃうんだよね」などと思い込んでいて、
2~3球打って「やっぱり違うわ」と判断し、
自分で十分に試す以前に結論を出してしまうようなのです。
その結果スイングが元どおりに戻るから、
「いつも同じこと言われているよねー」が繰り返されるという顛末。
2~3球だけ打って即、結論に達したい。
言い換えれば「あーかな?」「こーかな?」と、
モヤモヤするプロセスを省略したい。
その結果「これだけ打てば何か変わるよね」という、
ノルマをこなそうとする「他人事」の姿勢になっている様子が、
見受けられるというわけです。
だけどそういう人たちはテキパキと結果を急ぐあまり、
かえって上達が停滞する印象。
ちなみに先の指導の真意は、
「ボールが上に行くのは、ラケット面が上を向いているからであり、
垂直の面でボールをとらえれば、
下から上へ振るほどスピンがかかってコートに収まる」です。
この真意を体得する以前に、
自分のなかで結論を出してしまうからかえって、
「あーかな?」「こーかな?」と試行錯誤するモヤモヤタイプに比べて、
トップスピンが身につかないという事態が散見されます。
確かにノルマをこなすスピードは速いけれど、
上達はむしろ遅いようなのです。
自分が今まで経験してきたなかの想像だけで結論づけて、
新しい情報を「受け入れ拒否」してしまうというケースは、
テニスに限らず仕事や日常生活でもよくあること。
まず、受け入れてみる。
そのために、まず聞いてみる。
次回に続きます。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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