Speaks vol.26  <<勝ち負けにこだわる>>

スポーツは、勝ち負けがはっきりとしています。
どんな形であろうと、勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。

一方、日常生活では、勝ち負けというのは意識しづらいものです。
そのために、勝っていても気付きにくいし、
負けても、それが負けだったとも分からない。
だから日常では、せっかく勝っているのに、
時として「自分は不幸だ。恵まれていない」などと思ってしまったり、
逆に負けているというのにそれを別段何とも思わずに、
何の努力もしないということが、往々にしてあったりします。

仮に、テニスの試合で負けたら、どうでしょう?
次には勝ちたいと思い、練習を工夫してみるなどの具体的な行動に、
移すことになるのではないでしょうか。
勝つためには相手をリサーチして、データを分析し、練習を繰り返します。
そしてこれは、日常やビジネスの世界にも通用する考え方でもある。
本来的には、日常生活であろうとビジネスであろうと、
勝ち負けを常に意識して、特に負けたときには自分を成長させる
チャンスだと捉え、具体的に何か努力することが大事です。

競い合う機会を手軽に経験できる競技スポーツを、
そういう意味で日常やビジネスの世界に役立てれば、
自分を成長させるチャンスを見出せるに違いありません。
ただし、日常やビジネスの世界で競い合うことを前面に押し出そうとすると、
「何だ、コイツ!?」とヘンな人に見られかねない(笑)
そこで実際には、「自分と競う」というやり方が、非常に重要になります。

日常生活や仕事の中で、自分で「これをやろう!」と決めたことを、最後までやり通す。
やり通せたら、勝ち。挫折したら、負けです。
勝ち負けにこだわることは、自分を成長させる上で必ずプラスになるはずです。

もちろん、「あいつに勝ってやろう」とする具体的な相手を想定する
勝ち負けの考え方も、「何だコイツ!?」と思われない常識的な範囲内であれば、有効でしょう。
相手の優秀な部分を見習って、頑張ろうとする発奮材料にしてほしい。
でも嫉妬して、「相手なんて関係ない」とすねてみたり、
ひるがえって相手の足を引っ張ろうとしたりするのは、もってのほかです。
負けることも、あるでしょう。
もちろん負けると嫌な思いをしますが、それが努力する糧になります。

陥りやすいのは、負けるのが嫌だから、最初から戦おうとしない態度。
ライバルと競い合おうとするとエネルギーがいるし、
疲れるし、プレッシャーがかかるし、負けたら嫌だとも思う。
面倒くさいわけですが、競うことから逃げてばかりいると、成長はやがて止まります。

競おうとする気になかなかなれないという人は、
ぜひ競技スポーツに積極的に参加し、試合に出てみてください。
勝てば嬉しいし、負ければ悔しくて、何とかして勝ってやろうと自ずと努力し始めるはずです。
ぜひ、競い合いに参加してください。
成長する喜びを、見つけられるに違いありません。

【記事構成】テニスライター・吉田正広