Speaks vol.204
<<できる人になる秘訣>>
前回のスピークスで予告したとおり、
「できる人になる秘訣」について、
今回はいよいよお伝えします。
レッスンでは手を替え品を替え、
「こうしましょう」「ああしましょう」と、
打ち方について説明します。
だけどそれができる人と、
できない人がいます。
たとえばサービスをコンチネンタルグリップで打つ指導内容の場合、
その握り方や、腕の動かし方、
またそうしたほうが有利な理由などもお伝えします。
だけどやっぱりできる人と、
できない人がいるのです。
どうやらその違いは、いわゆる運動神経や、
器用・不器用の差などではなさそうです。
できる人とできない人の両者について、
コーチとしてよくよく観察してみると、
できる人たちが持つ共通点と、
できない人たちが持つ共通点と、
できる人たちとできない人たちとの間にある相違点が、
見て取れました。
ということはその共通点と相違点を整理すれば、
できない人ができるようになる道筋を、
お示しできるに違いありません。
その共通点と相違点とは、
スローモーションのスイングができるか否か。
できる人たちは皆、
素振りでスイングをゆっくりできるのに対し、
できない人は苦手ショットについて一様に、
どうしてもスイングが速くなってしまうというわけです。
というのができる人と、
できない人との間にある、
決定的な相違点だったのです。
ということはできない人が、
スローモーションのスイングを練習するというのが、
できるようになる道筋と言えます。
一般的な印象とは、
反しているかもしれませんね。
できる人は「スピーディにできる」、
できない人は「ゆっくりにしかできない」と、
ややもすれば考えがち。
しかし実際にはできない人にやらせると、
拙速な動きでごまかして、
言い方は悪いですが「テキトー」にやっつけてしまうのです。
こういうごまかしは、
日常生活でもよくあるのではないでしょうか?
たとえば人の話を聞くときに、
よく理解できない人ほど「ハイハイ」と言って、
理解できているフリをして聞き流してしまう。
あるいは難しい漢字を書こうとすると、
正確にイメージできず、
ササっと崩した書き方になってしまう、とか。
なのでできるようになるには、
まずはゆっくり・スローな動きで練習して、
脳からの指令を体に伝える回路を作ることが先決です。
ピアノでも、最初から指を速く動かせません。
速く動かそうとすると「テキトー」な演奏になります。
テニスではサービスをコンチネンタルグリップで打つとき、
ヒジから先の前腕を内側へひねるスピネーションと、
外側へひねり戻すプロネーションの動きが入ります。
ところが厚いグリップで握っていると、
手首を手の甲側へ折る背屈と、
手のひら側へ折り返す掌屈の動きになる。
「テキトー」に速くやってしまえば、
一見するだけだと同じように見えるかもしれません。
しかしスイングとしてはまったくの異質なのです。
あるいはトップスピンのスイングは、
寝かせたラケットを立てると説明しても、
できない人は一気に面をこねるような、
ごまかした動きになったりしがちです。
なので、できるようになるためには、
まずはできるだけスローモーションで行なってみるというのが、
「急がば回れ」でいちばんの早道。
以上ができるようになるテクニック習得についての話です。
だけどそうはいっても、
どうしてもスローにできない人もいるかもしれません。
先の例でいえばコンチネンタルグリップで、
ゆっくりサービスの素振りをするのだけれど、
スイングしているうちに、
厚いグリップに戻ってしまうなど。
その理由が脳と心の両側面から2つあることも、
できる人とできない人の観察を通じてわかりました。
次回のスピークスではそれについても解き明かし、
確実にできる人になるメカニズムをお伝えします!
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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