Speaks vol.205
<<「wrong」ではなくて「different」>>
前回のスピークスでは、
「できる人になる秘訣」についてお伝えしました。
たとえばトップスピンをかけるための理にかなったスイングができないのは、
脳からの指令を体へ伝える回路が、まだ形成されていないからです。
これを形成するために、
まずは「スローモーションでやってみる」というご提案でした。
できない人は動きをごまかして、
言い方は悪いですがテキトーにやっつけようとするから、
スイングが拙速になってしまいます。
ピアノでもできない人が速く弾こうとすると、
テキトーな演奏になるのでしたね。
だからまずはゆっくり取り組むのが「急がば回れ」で、
脳と体をネットワークさせるために有効とご説明しました。
ところがこのような理屈は頭で理解できたとしても、
スローモーションを実践できない人が、なかにはいます。
これには、心の問題が関わっています。
できるようになるためには、
自分のスイングがどうなっているのかを、
知らないといけません。
それがスローモーションにすると、
否応なしに分かるわけです。
ここで多くの人は、
できない自分を「見たくない」と思う。
だからスローモーションにして、
自分のスイングを目の当たりにすることに、
心理的抵抗を感じてしまう。
「みっともないスイングなんて見たくない!」
「サッサと終えてしまえ!」とばかりに、
テキトーな動きになってしまうのです。
しかし声を大にして言いたいのは、
できない人のスイングも、
「wrong」ではなくて「different」だということです。
「悪い」のではなく、
合理的なスイングとの、
「違い」があるだけ。
その違いをつまびらかにして、
理にかなったスイングとの差を埋める試みが、
スローモーションというわけです。
自分と向き合い、
できない自分を知るというのは、
確かにつらい修行のようなものかもしれません。
では僕は、どうやって向き合ったか?
自分について知らないまま試合に出て、
同じミスを何度も重ねるほうが、
「遥かにツライ」と感じたので、
向き合わざるを得なかったのです。
皆さんはいかがでしょうか?
できない自分を直視するつらさを回避して、
いつまでもできないままでいるか、
一時のつらさを乗り越えて、できる自分になるか。
仕事や日常生活でも、
できないまま知らんぷりにしているタスクは、ないでしょうか?
ちなみに僕は、たくさんあります(笑)。
テニスの場合、
できない自分と向き合うからといって、
そこまで深刻に考える必要はありません。
まずは日常から離れられるスポーツで、
スローモーションを実践してみれば、
できない自分と向き合うチャレンジを気軽に試せると思います!
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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