Speaks vol.192
  <<「応じ方」を洗練させる>>

前回は、テニスの考え方を応用したら、
ゴルフの不調が改善したある人の例をご紹介しました。

今回はその話からスピンオフし、
ゴルフとテニスの違いについて考察を深め、
その上で、皆さんの勝率アップに役立つスピークスをお届けしたいと思います。

テニスは、自分から打つサービス以外のショットは、
すべて先に相手から打たれたボールに対して、
後から自分が応じます。

一方ゴルフは全部、自分からです。

同じボールを打つ競技だとしても、
上記において、考え方や行動に、
決定的な違いがあります。

ゴルフが簡単だとは言いませんが、
「自分しだい」の要素がある。

それに比べて片やテニスは、
「自分しだい」の要素は、かなり減ります。

すなわち自分を出すには、テニスは、
その前にワンクッション(対応)が必要になる。

具体的にいうと、
どのくらいの深さにボールが飛んでくるか「判断」したり、
その判断に基づいて「移動」したりを、
サッと流れる短時間のなかで行わなければならないワンクッションが、
自分を出す以前に、介在するのです。

ですから現実問題として、
自分からはスタートできないにも関わらず、
自分からスタートすることばかりを考えていたら、
上手くプレーできません。

自分からフォアを強打したいといっても、
相手にバック側にばかりボールを集められたら、
まったく自分を出せなくなってしまいます。

「そんなの当たり前じゃないか!」という人もいるかもしれませんが、
皆さんの話を聞いているとどうやら一様に、
「自分の出し方」の技術論に、終始しているようなのです。

また一般的にスクールの指導もそうなりがちなのですが、
現実に即していないところがあるのは否めません。

これは前回お伝えした、
「手段の目的化」の話にも通じます。

何のためにプレーしているのかというと、
テニスの試合では本質的に勝つことが目的であり、
フォアを強打するためではありません。  

なのに強打の魅惑についつい、
とらわれてしまいがちではないでしょうか。

強打が決まった快感が忘れられず、
強打することや、
強打の仕方の話がみんな大好き。

しかし、だれが言ったか忘れましたが、
「こだわりはあってもいいけれど、
とらわれてはいけない」というのは、
そのとおりだと思います。

勝ちにこだわるのであれば、
ショットにとらわれては、
確率的に不利を招きます。

前回お伝えしたとおり、
テニスの総ポイント数の内訳は、
おおよそ80%がお互いのミスで、
エースやウイナーは、
残り約20%にすぎません。

強打がダメだと、言っているわけではありません。
しかしとらわれると、
ワンクッションなどお構いなしに自分から仕掛けを急ぎ、
対応する以前に、相手をねじ伏せようとしてしまいがちです。

ここが、ビッグ3は違います。
超ベテランの域に入る彼らがなぜ、
未だに勝ち続けられるのかというと、
次々と現れる次世代選手に「対応」しているからです。 
相手を、ねじ伏せようとするのではなくて。

若い次世代選手のなかには、
ビッグ3よりもパワフルなショットを打つプレーヤーもいます。

確かに、当たればねじ伏せる力は脅威。
しかし、先に自分を出そうとするあまり、
自滅するケースも少なくありません。

「どうやって打てばいいか」の前に、
「どうやって応じればいいか」を前提とするワンクッションを、
意識するようにしてみませんか。

相手のボールがどれくらいの深さに飛んでくるのか判断したり、
その判断に基づいて移動したりする「応じ方」を、
洗練させましょう。 

「応じ方」が上手くなれば、
自分を出す「打ち方」も、
自ずと改まるはずです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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