Speaks vol.193
<<頭の中をフル回転させよう!>>
スポーツという言葉の由来は、
もともと「競技」ではなく、
「頭の中を空っぽにする」などという意味が語源。
これについてはスピークスでも、
過去に何度かお伝えしているとおりです。
それは「日常の雑事・雑念から離れる」という意味であって、
プレー中に「頭を使わない」ということではありません。
クレバーといわれるゴルフと前回比較してみましたが、
テニスだとサービス以外のショットは、
相手の打ってきたボールに応じるため、
自分からアクションできる要素は多くありません。
しかもひとたびポイントが始まると、
ボールが行き来する非常に短い時間の中でどうするかを、
一瞬で判断しなければならないから、
頭の中はつねに、フル回転させておかなければならないのです。
思考を止めてしまったら、
プレーはただのジャンケン(行き当たりばったり)に、
成り下がってしまいます。
ゴルフは風がアゲインストかフォローかなどを、
考えなければならないなどといわれます。
ですからゴルフはかなり思考しますし、
当然、簡単でもありません。
しかしテニスにももちろん、風対策は必要。
それを頭に入れて計算しながら打つ人が少ないだけで、
実際はテニスの場合、
思考できる時間が相対的に極めて短いため、
より頭の中を回転させなければならないのです。
風上か風下かを確認し、
相手のポジションを目視しながら、
飛んでくるボールのスピードや深さを見極めつつ、
それに応じて自分の打ち返す球種やコースを選択します。
もちろんそのコースへ打ったら、
次にどんな返球が来るかも、予測しながら。
これらすべての判断を、
約1秒以内に行わなければならず、
あまりにも時間が短すぎるから、
あたかも「考えていない」ように映るのかもしれません。
錦織圭は試合から遠ざかったあとの復帰戦で敗因を振り返るとき、
「フィーリングは変わらないけど、ショットの選択を誤った」
などと分析することがあります。
フィーリングは感覚で、
選択の判断は思考。
その判断が、いわゆる試合勘です。
そしてそれが正しいか間違いかの一瞬の判断は、
トップレベルでも、ややもすればにぶるのです。
その勘を取り戻すためには、
思考停止状態から脱却し、
頭の中をつねにフル回転させながら、
トライ&エラーを繰り返して思考をアップデートしていくほかありません。
スポーツの語源をねじ曲げて解釈し、
「頭の中を空っぽ」にしていれば、
いいわけではないのです(笑)。
スポーツのいいところは、
先述した風をはじめとして、
いろんなジャマが入るところです。
それらのジャマをいかにクリアするかを考えながら、
レベルアップしていくからこそ、スポーツはおもしろい。
自分もまだまだ発展途上中ですが、
こういう気持ちでこれからも、
テニスについて考えながらプレーしていきたいと思っています。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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