Speaks vol.191
  <<目的は、何?>>

ある生徒さんと、話をしました。
テニスだけではなく、
ゴルフもやるそうなのですが、
どうも最近、その調子がいいらしい。

なぜ?
詳しく聞いてみると、
好調の理由はテニスにあるというのです。

スコアが伸び悩んでいたので、
テニスの考え方を当てはめてみたといいます。

ゴルフというのは選ぶクラブによって、
ボールの飛ぶ距離が違います。

その人は、7番アイアンがうまく打てなかった。
だけどこの距離感だと、
「7番アイアンを選ぶのが基本」
「7番アイアンを選ぶのが常識」
そんな既成概念にとらわれていたといいます。

さてテニスでは、
相手コートに返すことが何より大事です。

そのためには強烈なフォアハンドでなくても、
1本つないだほうが返る確率が高いのであれば、
手段となるショットは何でも構わない。
常々、そうお伝えしています。

この考え方を、当てはめたそうです。
つまり常識的には7番アイアンの距離感だけど、
自分の得意な8番アイアンを選ぶようにしたら、
復調したとのこと。

一事が万事で、
こういう応用を効かせられる工夫が、
スポーツの面白いところです。

そして今回のタイトル「目的は、何?」

ゴルフの本質的な目的は、
各ホールで定められた打数よりも、
少なくカップインすること。

それを達成するにあたっては、
常識的なクラブの選択にとらわれる必要はありません。

ビッグドライブが誇らしいとしても、
コントロールがデタラメでは意味がないのです。

確かに300ヤード飛ばせば、
打数を減らせる可能性はあるかもしれないけれど、
目的を達成するために成功する確率を計算したうえで、
取り組むことが大切です。

もちろんテニスでは自明の理で、
時速200kmのサービスを打とうとして、
フォールトばかり繰り返すくらいなら、
回転をかけてスピードを落とし、コースを突いたほうが、
勝つ目的の達成には有利に働きやすいに決まっています。

テニスというのは、
獲得ポイント数が相手より多いほうが、99%勝つスポーツ。
そして総ポイント数のうち、
約80%がお互いのミスで、
約20%がウイナーで決するデータが、
確率的に証明されています。

であれば、入りにくい強打で攻めるよりも、
確実に入るショットを選択したほうが、
目的を達成するには有利に働きやすい。

その事実をテニスで学んだ経験を踏まえて、
ゴルフでも同じように役立てられたそうです。

ところが、です。
ややもすれば、手段が目的化しがちではないでしょうか。

すなわち、速いサービスや、
強いフォアはあくまでも手段にすぎないはずなのに、
いつの間にか勝つことを度外視して、
それらのショットを打てることが目的になる。

お金は生活を便利にするための手段にすぎないのに、
お金を貯めることが目的化するようなものです。

そう、手段は目的化しがちなのです。
だからこそ逐一、
「目的は、何?」かを意識することが大切。

先の全豪オープンを制した大坂なおみは、
「チームに助けられた」という感謝の言葉とともに、
「チームで毎日、練習の目的を確認した」といって、
優勝までの道のりを振り返りました。

トップ選手であれば確かめるまでもなく、
練習の目的など定めていると思いがちです。

ところがグランドスラム優勝者でさえ、
その目的をあえて毎日確かめるというのです。

一般プレーヤーであれば、なおさらうっかり、
目的を見失ってしまいやすいかもしれません。

ですから、つねに目的を確認する。
しかもこれは、今すぐできることです。

フォアハンドの強化や、
サービスの高速化、
ネットプレーの高確率化などは、
血のにじむような練習が必要かもしれないけれど(笑)、
それ以前にもっと大事な「目的は何か?」を確かめる作業は、
いつでも、どこでも、誰でもできます。

仮に目的が誤っていたとすれば、
それを正しく定め直すだけでも、
先のゴルフの例と同様に、
調子や生産性が瞬時に上がる可能性があります。

今一度、それをやる「目的は、何?」かを、
問うてみてはいかがでしょうか。

それにより練習の取り組み方はもちろんのこと、 
自身のプレースタイルや、ライフスタイルさえ、
変わってくるかもしれません。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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