Speaks vol.185
<<十人十色>>
スピークスではこの数回にわたり、
関係性について説明してきました。
ひとつは、他者との関係性。
テニスでは「こう打つ」「ああ打つ」と自分主体に考えがちだけど、
対戦相手がいるのだから、
他者との関係性を踏まえなければ独りよがりなプレーになる。
フォアハンドの打ち方をどんなに工夫してみたところで、
対戦相手にバック側へばかりボールを集められると、
対応できないという話でした。
そしてもうひとつは、環境との関係性。
テニスでは風を嫌がる人が多いけれど、
それは、思うようにプレーできない自分について主体的に考えてしまうから。
実は意識を、思うようにプレーできない自分にではなく、
やるべき風対策に向ければ、
嫌がるどころか風の日のプレーが、楽しくすらなるという話でした。
そして前回はこのテーマにつきまして、
人を指導する立場のコーチである自分もわきまえないといけないという内容で、
文章を締めくくりました。
どういうことかというと、
私がこういう話を語るにあたっても、
他者である読者(これを読んでいる皆さん)との関係性を踏まえないことには、
もちろん、独りよがりになりかねません。
私の説明している話を、
肯定的に聞き入れてくれる人もいるでしょう。
一方では、懐疑的に聞き流す人もいるかもしれません。
だけどそこで私が懐疑的に聞き流す人に対して、
「どうしてわかってくれないの!?」などと腹を立てると、
コーチングが独りよがりになってしまいます。
私がフォアハンドを打ちたいのに、
皆さんがバック側にばかり打ち返してくるから、
腹を立てるようなものです(笑)。
ですから私は皆さんに、
同じ意見になってほしいわけではないのです。
10人いれば、10人の意見が違う「十人十色」でいい。
スピークスを通じて、
10人を同じ1色で塗りつぶしたいわけではなくて、
10人の中のひとりの意見として、私の意見が1色あります。
そして皆さんとの関係性を踏まえることによって、
私は「どうしてわかってくれないの!?」と腹を立てることもなければ、
独りよがりにならずに、済んでいるはずなのです。
その関係性を踏まえるとイライラしないし、
むしろコーチングを楽しめるようにすらなります。
そして私も、皆さんからさまざまな意見を得る機会に恵まれます。
まとめると、
テニスをしていると他者も環境も否応なしに関わるから、
その関係性を学べるのがいいところ。
その学びは、ビジネスや家事、
そして今でいえばコロナ対策などにも役立てられると思うのです。
「どうして感染症対策しなきゃいけないの!」と腹を立てるのではなく、
手作りマスクのオシャレを、楽しめるようにすらなる。
十人十色のうちの、ひとりの意見として、
よろしければ参考にしてみてください。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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