Speaks vol.184
  <<風の日にイライラせずプレーする方法>>

前回は、自分主体を改め、
他者との関係性を踏まえるという話をしました。

テニスでは、
自分がどう打つかばかり考えてしまいがちだけど、
対戦相手が打ってくるボールを打ち返すのだから、
その関係性を踏まえなければ独りよがりのプレーになる。

もちろんレッスンで球出しを打ち返すだけの練習なら、
「こう打つ」「ああ打つ」の自分主体でもいいけれど、
試合では、相手とのやり取りを前提とした他者との関係性を踏まえないと、
自分はフォアが打ちたいのに、
相手にバック側へばかりボールを集められたら負けるという話でした。

今回は、自分主体に陥って困りがちになる、
もうひとつの要因である「環境」について考えてみたいと思います。

テニスで環境というと、風、雨、太陽などの影響を受けます。
あるいはコートサーフェスも環境のひとつと言えるかもしれません。

なかでも風は、多くの人が苦手にしている傾向。
「風が強い日は嫌だ」と、皆が口を揃えます。

なぜかと問うと、
風があまりない日に比べて、
自分の思い通りに打てないから嫌だというのです。

だけどレッスンで、
「風上からは、こうするといい」
「風下からは、こうするといい」と、
風対策についてお伝えすると、
あんなに嫌がっていた皆さんなのに、
全然イライラしなくなるのです。

むしろ風対策を楽しんですらいる。

それは、「風上ではこうする」「風下ではこうする」といった具合に、
やるべきことに意識が向くから。

風を嫌だと思うのは、
思うようにできない「自分」に意識が向くせいなのです。

結論をいうと、
自分の内側に意識が向くと、人は悩み、
自分の外側に意識が向くと、人は悩みません。

コロナ禍は今までと違う環境だから、
自分が思うようにできないと考えると、
イライラします。

しかし新しい生活様式について、
それが正しいかどうかは別としていろんな人が、
「手洗い」「マスク」「三密を避ける」などの行動指針を示しています。

それらのやるべきことに意識が向くと、
イライラしなくなるのです。
なかには、手作りマスクのオシャレを楽しむ人すらいる。

だけど、
「どうして自分がやらなければいけないの?」と、
自分に意識が向くと、イライラするのです。

さて再びテニスに話を戻すと、
これはメンタルの保ち方にも通じる考え方で、
プレーが上手くいかない自分に意識が向くと、
イライラします。

そうではなくて例えば、
「足を動かす」とか「ボールをよく見る」などの基本でいいから、
やるべきことに意識を向けると、
完全ではないとしてもメンタルを保ちやすくなり、
イライラせずに済みます。

風が強い日の場合、
上手くできない自分に意識を向けるのではなく、
やるべきことに意識を向けたらイライラせずに済むのと同じ話です。

「当たり悪い」
「思うようにボールを飛ばせない」
そんな時は、どうすればいいでしょうか?

「だからどうする?」というやるべきことに意識を向けると、
感情的にならずに済みます。

換言すれば、
「当たりが悪い自分」
「思うようにボールを飛ばせない自分」のままだと、
どうしてもイライラし始めてしまいます。

これは、イライラしてしまう性格の問題というよりも、
意識を内側に向けるか外側に向けるかのメンタルテクニックですから、
習熟すれば誰でも使いこなせるようになるスキルです。

とはいえもちろん、
前回と今回にわたり説明してきた「他者との関係性」「環境」については、
コーチである私自身もわきまえなければならないテーマ。

そこを踏み外すと、イライラしかねません。
次回に続きます。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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