Speaks vol.182
  <<相手との関係性を踏まえる>>

テニスのレッスンでは、
ややもすれば「こう打つ」「ああ打つ」という、
自分主体の話にばかりなりがちです。

だけど、それだけでは、
なかなか試合で勝てるようにはなりません。

相手に対してどういう影響を及ぼすのか?
そのために、「こう打つ」「ああ打つ」という打ち方が必要になります。

つまり、「相手に対してどういう影響を及ぼすのか?」という前提に対して、
それを達成するための手段として、打ち方があるのです。

ところが前提を抜きにして、
自分が主体的に「こう打つ」「ああ打つ」の打ち方だけを考えて、
練習している人が少なくありません。

もちろん試合ではなくて、
例えば球出しのボールを打ち返すだけのレッスンであれば、
自分が「こう打つ」「ああ打つ」だけで話は完結します。

しかし試合というのは、
相手が打ってくるボールを打ち返すのだから、
相手との関係性を踏まえないことには、
上手くいかないのです。

会話でいえば、
自分がしゃべりたいことがあるといっても、
その内容が、相手の関心や興味にそぐわなければ、
影響を及ぼすどころか聞き入れてさえもらえません。
つまり、交渉や駆け引きに、失敗するのです。

逆に相手との関係性を踏まえれば、
こちらからは主体的に多くを話さなくても、
交渉や駆け引きは上手くいきやすいはずです。

これがテニスにもいえて、
「ああ打つ」「こう打つ」は、練習ではいいけれど、
試合ではその前提として、
相手との関係性を踏まえた交渉や駆け引きをする必要がある。

「自分は強いフォアが打てるから、大丈夫!」
といって試合に出たら、負けます。

なぜなら、相手がこちらのバックサイドにばかり打ってきて、
フォアを打たせてもらえなかったとしたら、
全然「大丈夫!」ではないからです。

将棋やチェスなどでも、
自分の駒の打ち方ばかりを考えているわけではありませんよね。
相手の出方に応じる必要があるのは当然です。

しかしテニスでは多くの生徒さんが、
自分の打ち方ばかり気にしてしまいがちのようなのです。

当たり前のような話ですが、
皆さん、案外この視点が欠けているのです。
「フォアに絶対の自信を持っている!」という人ほど、
試合ではコテンパンに打ちのめされます。

それは、相手との関係性が、
まったく踏まえられていない次元の話だからです。

さてコロナ禍では、
「自分は感染していないから大丈夫!」といって、
外出してしまう人が少なくありませんでした。

だけどそれはテニスでいう、
「こう打つ」「ああ打つ」という自分主体の話です。
他者との関係性はお構いなし。

しかし今はコロナを収束させるのが前提である以上、
他者との関係性を踏まえて、
不必要な外出は控えたり、3密を避けたり、
あるいはソーシャルディスタンスを意識したりする必要があります。

「自分は感染していないから大丈夫!」というのは自分主体。
それは他者との関係性が、まったく踏まえられていない次元の話です。
下手をすると、コテンパンに打ちのめされてしまいかねません。

他者との関係性を踏まえなければ、何事も上手くいきません。
アフターコロナといわれる今こそ、
自分主体だけではないモノの見方が必要ではないでしょうか。

新型コロナウイルスは人類に多大なダメージを及ぼしましたが、
一方では、私たちのモノの見方を変えるきっかけを、
与えたようにも思います。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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