Speaks vol.10  <<限界値を広げる>>

皆さんは、肉体と精神のどちらが先に限界をむかえると思いますか?

気力十分なのに足がつってしまい、もうどうにもならない、といったケースは、
肉体が先に限界をむかえてしまったケースといえます。
しかし、こうした肉体が先に限界をむかえるというケースは稀で、
自ら、もうこれ以上は無理だ、とそれ以上頑張ることを諦めてしまうケースのほうが
多いのではないでしょか?
これは練習、トレーニング、試合のいずれの場面にも共通していえることです。
これは、知らず知らずのうちに自己防衛本能が働き、
あと一歩踏ん張れるかなというときも、先のことを想像してしまい、自らにブレーキを
かけてしまうのです。

普通の人であれば、限界値が10のところを5~6まで頑張れれば、良い方と
言われています。(10とは死ぬまで頑張るということです。)
これが、世界のトップアスリートは9まで頑張れるそうです。
先日の世界陸上で見事2つ目の銅メダルを獲得した400Mハードルの為末選手は、
「皆さんよく『死ぬ気でやる』なんていうことを言いますが、僕の場合は、
この一本走り終わったら本当に死んでしまっても構わないくらいの勢いで走っています。」
と語っています。でもその結果、本当に死んではいないのです。
世界のトップアスリートでさえ、9まで自らの限界値を広げるのがやっとなのです。
しかし、我々の立場からみれば、まだまだ限界地を広げる余地が残ってともいえます。

5kmのランニングをしようと、ゴール地点を設定して頑張ってみようとした場合、
本人には内緒で実際には7km地点にゴールを設定しておくと、
5km地点では、まだまだ頑張る気力一杯で先を見据えて走っているものです。
この例え話のように、自らのセルフコーチング力だけでは、なかなか限界値を
広げられないところを、コーチなど第3者の力を借りると
効果的に限界値を広げられるものです。
世界のアスリートたちがコーチやトレーナーを付けているのは、
まだまだいける自分が存在することを気づかせてくれるからではないでしょうか?
長嶋茂雄さんは、冬場のトレーニングの際苦しくなってくると、試合の苦しい場面
(9回裏、2アウト、ランナー2・3塁で一発逆転のチャンス、のような場面)を
想像して、あと一歩の頑張りをしたそうです。

さらなるタフネスを目指し、皆さんもこれからのシーズン、
自らの限界値をあともう一歩広げてみる取り組みを是非してみてください。