Speaks vol.179
  <<要は◎◎すればいいんでしょ!>>

前回は、「模範解答にとらわれない」という話をしました。
テニスでは、打ち方、コース、配球などの模範解答があります。
だけど実際のゲームでは、たとえば打ち方などはどうであろうと、
ポイントが取れればOKなわけです。

むしろ模範解答的な打ち方にとらわれすぎると、
「ポイントを取る」という本質的な目的を、
見失ってしまいかねません。

今回は、上記の説明を補足する私の実体験をご紹介します。
それは、アメリカへテニス留学を志した若き時代までさかのぼります。

アメリカへテニス留学するにあたっては、
英会話を使う必要がありました。
もちろん模範解答的にいえば、
「正しい文法」や「正しい発音」を学ぶべきだと考えます。

しかしその模範解答を前もって勉強しようとしすぎると、
「正しい文法」「正しい発音」をマスターしておかなければ、
コミュニケーションを図れなくなります。
アメリカへテニス留学する踏ん切りも、つかなかったかもしれません。

ここにとらわれるあまり、
英会話に挫折している日本人が、
少なくないように見受けられるのです。

前回は、「要はポイントが取れればいいんでしょ!」という、
テニスにおけるゲームの本質について話をしました。
それと同様に、「要は通じればいいんでしょ!」というのが、
コミュニケーションの本質なはず。

そこで私が採用した手法は、「伝わるまで繰り返す」でした。
当然、相手は「何?」「何?」と、聞き返してきます。
なので、伝わるまで、何度も唱えるのです。

テニスのゲームでは、1発のボレーで決められなれば、
1ポイントを取るために、
50往復ラリーを繰り返せばいいと、前回ご説明しました。

また、1から100までを合計する計算の場合、
両端を足した和の101に50をかけるという模範解答を知らなければ、
1+2+3+4+……の地道なやり方でも、
答えを導く目的は達せられるという話もしました。

それとまったく同じで、
コミュニケーションの本質が「伝える・伝わる」だとしたら、
「正しい文法」や「正しい発音」は、この際二の次。
それよりも目的を達成するために、
伝わるまで何度でも地道に繰り返せばよいのです。

なのに「正しい文法」「正しい発音」の模範解答にとらわれるせいで、
英語を学んでもまったく話せない・聞けない日本人が、
少なくないようなのです。

もちろん、
「正しい文法を使いたい!」
「変な発音だと恥ずかしい…」などという、
好き嫌いの問題はあるでしょう。

テニスのサービスでも、
「上から打ちたい!」
「下から打つなんて嫌だ…」と思うかもしれません。

しかしゲームの本質が、「ポイントを取る」ことであり、
会話の本質が、「伝える・伝わる」ことだとしたら、
目的の達成にあたって好き嫌いは、この際二の次。
差し当たってサービスなら「要は入ればいいんでしょ!」であり、
会話なら「要は通じればいいんでしょ!」でいいはずです。

日本人とは対照的に映るのが、
日本へ働きに来る外国人労働者たちです。
彼、彼女たちには生活がかかっていますから、好き嫌いなどはお構いなし。
ブロークンなカタコトの日本語でも、ガンガンしゃべります。

それで、十分伝わります。
そうして彼らの日本語はどんどん洗練されていき、
結果として、最速で「模範解答」に近づくのです。

前回説明したとおり、
模範解答を求めるための練習が、
不必要というわけではありません。
再現性を高めるために、ベースとして必要です。

それと同時に実際の現場では模範解答にとらわれすぎずに、
本質を見極めて「要は◎◎すればいいんでしょ!」を、
好き嫌いは抜きにして遂行することも大切。

ぜひ皆さんも日常生活のさまざまなシーンで、
「要は◎◎すればいいんでしょ!」を使ってみてください。
いろんな物事を、もっとスムーズにこなせる機会が多くなるはずです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
休日レッスンお申し込みページ
平日レッスンお申し込みページ
ナイターレッスンお申し込みページ
早朝レッスンお申し込みページ