Speaks vol.180
  <<不安の仕組み>>

最近、いろんな意味で不安な世の中です。
今回は、不安について考えてみましょう。

というのも、
不安を感じる仕組みを知っておくと、
少しはラクになるはずだからです。

時間軸としては、「未来」「過去」「現在」があります。
「未来」は、不安を感じやすく、
「過去」は、後悔を覚えやすい。

まだない「未来」を、後悔することはできませんし、
もうない「過去」を、不安になることもできません。

そして「未来」は、分からないから、変えられない。
そして「過去」は、終わったのだから、変えられない。

では残った「現在」の特徴はというと、
唯一、未来や過去にとらわれずに、
具体的に変えられる点にあります。

これは、スポーツでパフォーマンスを高めるオキテであり、
メンタルトレーニングの根幹をなす考え方でもあります。
「現在」にフォーカスを当てるのです。

例えば選手に対するインタビューで多いのが、
「次の対戦相手はフェデラーだけど、どう?」という質問。

それに対して選手はまず定型文として、
「素晴らしいプレーヤーでリスペクトしているから」ウンヌンと応えます。

その上で本音として、
「今はリカバリーに専念して、ベストを尽くすよ」と、
「現在」やるべきことにフォーカスする内容が語られます。

次戦について考えると、
先述した通りそれは「未来」なので、
不安を感じやすくなるからです。

「未来」について考えれば、選手だって、
「センターコートで1ゲームも取れなかったらどうしよう……」と不安になるのは、
私たち一般プレーヤーと、同じなのです。

そして、逆のインタビュー形式としては、
「過去の対戦はシカジカだったけれど、今回は?」と選手に尋ねます。

すると選手は、
「あの時は1年前で、2人とも若かったからエトセトラ、ラエトセトラ」と、
定型的に振り返った次にはやはり、
「だから今、ベストを尽くすだけです」と、
意識を「現在」にフォーカスさせる本音が語られるのです。

インタビューアーは、「未来」や「過去」を意識させて、
不安や後悔を煽りますが、
自分は「現在」にフォーカスしなければ、流されかねません。

何かと、不安が煽られやすい時世ですが、
マスコミによって流されてしまう必要はありません。

流されると、
マスクやトイレットペーパーをはじめとした物資の買い占めに走り、
冷静でいられなくなります。

「未来」を案じて買い占めに走り、
スーパーの棚が空になっているのを目の当たりにするから、
かえって動揺し不安が喚起されかねません。

そうなると、さらに分別を失った言動が多くなる。
これが、パニックの本質です。

手持ちがない人は、買えばいいけれど、
今ある人は、買わなくていい。
その「現在」にフォーカスできる精神的な安定性がブレない限り、
不安に押しつぶされる心配は、ないのですから。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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