Speaks vol.153
  <<意識する練習>>

前回のスピークスでは、上達に関わるのは、
運動神経やセンスではなく、意識であると説明しました。

意識は誰にでもあります。
その使い方を学んでみましょうというご提案でした。

せっかく100回練習しても、何も意識していなかったら、
上達の効果はほとんどないかもしれません。
しかしたった1回の練習でも意識を及ばせれば、
何かしらの「気づき」が得られやすくなるものです。

今できることに、意識を向けましょう。
身体の使い方を意識する時は、
打ったボールが入ったかどうかの結果を意識する必要はありません。

結果に意識が行くと、身体の使い方は意識できなくなります。
とはいえ、身体の使い方を100%意識すると、
今度はボールが意識できなくなって空振りするでしょう。

一つずつの積み重ねが大切です。
身体の使い方を意識しながら、結果を意識するという、どっちつかずではなくて、
まず、身体の使い方を意識できるようにする。
その次に、結果を意識できるようにする。

そうして積み重ねていくのが上達です。
上達とはすなわち、意識の向け方が分かるようになり、
そのコントロールができるようになること。

それほど、難しいわけではありません。
今現在、一番大切な部分に意識を向け、
それを積み重ねていけば変化が生じて、
気づきが得られるというプロセスです。

逆に意識が散漫で、あっちこっちに向いていると、
気づきを得られず、練習しても何も生まない状態が続きます。
何年もテニススクールに通っているのに変化しないという人は、
そのような意識が「ない」のだと疑われます。

マジシャンは、タネや仕掛けが見破られないように、
見ている人の意識を別のところへコントロールします。
それに、見ている人はコロッと引っかかります。

ということは、意識というのは案外単純で、
他人にコントロールされるくらいなら、
自分でもコントロールできるものなのです。

練習としては手始めに、日常生活の中で、
例えば会話している人へ視線を向けたまま、
横を通り過ぎる人を意識してみる。

ちょっとした意識の遊びですが、
そのちょっとしたことの積み重ねが大切です。
自分の意識がどこにあるのか、どのように働いているのかが、分かるようになります。
そのように意識をコントロールする練習をしてみることから、人は変わり始めます。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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