Speaks vol.151
  <<手段と目的をすり替えない>>

前回は、自分の思い通りの威力とコントロールで、
ボールを高確率で相手コートに返すには、まずは入らなくてもいいから、
「引く」スイングを習得するプロセスが必要な理由について説明しました。

どうしても見た目に惑わされて、「押す」スイングをしてしまいがちです。
そうすると、確かに「結果オーライ」で入りさえすれば良いところもあるのだけれど、
それがテニスの上達を妨げる一因であるという話でした。

とはいえ、ネットを挟んで対戦相手とポイントを取り合うのが「目的」のテニスなのに、
いつの間にか、その「手段」であるスイングにばかり目を奪われてしまいがちです。

つまり、「手段」が「目的」にすり替わる。
これを防ぐためには、どうすればいいかというのが今回のテーマです。

結論から言うと、「立ち止まる」というのが大事なポイント。
というのも、上達を目指して突っ走ってばかりいると、
どこに向かっているのかが見えにくくなるからです。

仕事で言えば、顧客の満足度を高めるのが新製品作りの目的のはずなのに、
いつの間にか自分だけの理想を追及する新製品作りに夢中になってしまう。
顧客満足度ではなく、自己満足度を高めてしまっては、本末転倒でしょう。

メンタルタフネスで使われる問いかけに、
「何のために?」というフレーズがあります。
「何のためにテニスをするのか?」

「勝ちたいから」「ストレス解消」「健康のため」など、
回答はいろいろあるかもしれません。
ではさらに突っ込んで、「何のために勝ちたいのか?」

「夢だから」「自信をつけたいから」などが出てくるでしょう。
しかし最終的に突き詰めていくと、
結局は、「好きだから」「楽しいから」という思いを包括する、
「幸せになりたいから」なのだと思います。

小さい頃から野球をやってきた子どもは、
なぜ日が暮れて、ボールが見えなくなるまで白球を追いかけていたのかというと、
それをやるのが、好きであり、楽しくて、「幸せ」だったのでしょう。

幸せとは定義がなく、色を混ぜて作れない原色のようなもの。
だから、混ざりけないから「真の目的」です。

テニスの試合本番ですごくビビり、実力を発揮できない人がいます。
いろいろと悩みがあるのですが、そういう人には「何のために?」と問いかけて、
一度「立ち止まる」ように促すと、突破口を見出しやすくなります。
「幸せになるために、なぜビビる必要があるのか」と。

「何のために、仕事をしているのか?」
「何のために、ダイエットをしているのか?」
「何のために、英語を話せるようになりたいのか?」

幸せになるためなのに、不幸に陥っているのだとしたら、
どこかで「手段」と「目的」が、すり替わっているのかもしれません。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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