Speaks vol.81  <<前方に意識を向ける>>

テニスというのは、言うまでもなく対人スポーツです。
自分のパフォーマンスだけで完結する話ではなく、
必ず「相手」が絡んでくる競技。

だから、いくら「自分」が頑張って完璧なプレーをしたとしても、
最高点は50点どまり。
残りの50点は、自分の望むように相手にさせることで、手に入るということです。

たとえば、いくら自分にとって最高のフォアハンドを打ち込んだとしても、
相手が難なく返してくるのであれば、そのショットは最高でも50点。
だけどたとえ緩めのボールでも、相手はネットプレーが苦手で、
短く打てば前に誘い出せる可能性があるのであれば、
そのショットは80点にも90点にも跳ね上がるということです。

要はポイントを取るために、「相手に何か嫌なことをさせる」という発想がないと、
トータルでのパフォーマンスは、必ず半分以下になるということ。
つまり赤点。これが、中級レベルの人が上級レベルに進級できない原因になっています。

では、パフォーマンスを上げるためにはどうすればいいかというと、
「前方への意識を高める」、これがテニスでは非常に重要です。
中級レベルのプレーヤーはたいてい、
「自分がどう打つか」「自分がどうスイングするか」「自分の調子はどうか」といったように、
自分の内側に意識が向いています。
もちろん、そのような意識も必要。
だけど、それでは最高でも50点どまりなんですね。

さらにパフォーマンスを上げるためには、
前方、つまり相手やコートやボールに向ける意識の使い方が、大切になります。
「相手にどう打たせるか」「相手のスイングはどんな感じか」「相手の調子はどうか」、

そのような意識の向け方ができるようになると、
自分は無理して頑張らなくても、トータルパフォーマンスは自然に上がる、
つまり勝てるようになってくるのです。
自分は無理しない分、プレーの安定性も高まり、精神的にもラクになります。

前方に意識を向けるといっても、
具体的にどうすればいいかわからないという人は、次の3つに注意してみてください。

「見る」「狙う」「備える」の3点。

「相手やボールを見る」
「コースを狙う」
「次の展開に備える」
この3つを心掛けると、、意識は必ず前方へ向かいます。

そしてこの3つができるようになると、
テニスでは、自分の能力を最大限にアウトプットできるようになるのです。
試合に勝つ人というのは、この3つに長けているといっても過言ではありません。
ぜひ参考にしていただき、自身のレベルアップに役立ててください!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広