Speaks vol.80 <<自分を知る>>
錦織圭選手がばく進中!
スイス室内(バーゼル)で世界No.1のジョコビッチを破り、
決勝ではフェデラーと対戦。
ランキングを、日本男子史上最高を更新する24位としました。
「トップ10に対する勝ち方がわかってきた」と言いますが、
見ていると、自分の強みを理解して、プレーしているように感じられます。
バックハンドは安定感とコントロールに優れ、
フォアハンドのスピードショットで仕留める。
そしていちばんは、ボールを追いかける粘り強さが、
他の下位選手とは違います。
このあたりが、錦織選手らしいプレーといえるのではないでしょうか。
自分の強みを、よく知っているのです。
一方では、なかなかテニスが上達しないという人は、
「自分を知らない」人が、少なくありません。
ここがいちばんの問題なのです。
「自分を知りましょう」というと、
試合に勝った、負けた結果の話にフォーカスしてしまう人がいますが、
これでは意味がありません。
そうではなくて、自分を知るとは、まず自分のよい点を認めることです。
これが皆さん、なかなかできない。
だけど、よい点を認めないことには、強みを発揮しようもありません。
あなたの強みは何でしょうか?
ぜひ時間をとって、考えてみてください。
振り返れば必ず見つかるはずです。
そして自分を知るにはもうひとつ、
できない課題がなぜできないのかを知ることが大切です。
「できない=×」と決めつけて、つい向き合うのを避けて、
そこから目を逸らしてしまいがち。
しかし、自分がよくなるために「×」と向き合うのだから、
それは決して悪い方向に向かうことにはなりません。
できない課題が自分をよくする「○」であると思えるかどうか、
ここが、上達していけるかどうかの分かれ目と言えます。
自分を知らない人というのは、
自分を主観的にしか見ていない人です。
できないことがあると「自分は年だから」「体力がないから」「体が動かないから」と
できない言い訳を探してしまう。
だけど多くの人を見ている限り、
できない理由はそんなところにはないケースのほうが、圧倒的に多いと言えます。
自分を知るには、徹底的に自分を客観的に見るというのがお勧め。
そうすると、できないところが冷静にわかるから、
取り組むべき課題や、進むべき方向性も見えてきます。
自分の居場所がわからないことには、
地図を広げてみたところで、目的地にはたどりつけません。
まずは自分を知ることです。
そうすれば、自ずと進むべき道が見えてくるのですから。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広