Speaks vol.93  <<つらいときほど、学びがある>>
 
あなたはテニスがうまくならないといって、
今、つらいと感じていませんか?
そうであるならば、チャンスです!

なぜならば、何かの学びがあるのはたいてい、
つらいときだからです。
このとき人は、その状況でもがき、
猛烈に学んでいるのです。

つらいときというのは、上手くいかないことが多いから、
その渦中にあっては「学んでいる」だなんて、気づきにくいかもしません。
だけど前回お話しした通り、
もがき具合によって、人は大きく成長します。

例えばフォアハンドが苦手だったとする。
するとあなたは、ああでもない、こうでもないと試行錯誤し、
もがくことになるでしょう。
そのプロセスこそが、大事。
その経験を通じて、学んでいるのですから。

うまく打てない技術的なことばかりではありません。
つらいと精神的にも落ち込むこともあるかもしれませんが、
これがまたあなたを強くしています。

そういう意味では、上手くいっていない状況のほうが、
学びやすいのです。

「うまくいかないこと=バツ」ではありません。
そうしてバツであると考えることがバツなのです。
今言ったようにうまくいかないときのほうが学びやすいのだから、
今は成長の過程と捉えて、フォアハンドについてもがくとき。

そうして技術的にも精神的にも多くの学びを得た暁には、
大きな飛躍があるに違いありません。
またそれを、ほかの得意なショットにも活かせるようになるでしょう。

基本的には得意なことというのは、
何も考えずにできるものだから、そこから学びは得にくい。
だけど不得意でつらい経験を通じて成長できれば、
それをいろんなショットや、それこそテニスに限らず、
仕事や日常生活にも応用することができるでしょう。

フォアがどうしても不得意ならば、
それはそれで仕方がないと妥協点を探り当て、
その中で勝つにはどうすればいいかの術も学べます。

テニスに限らず、仕事でも日常生活でも、完璧などあり得ません。
その中で高いパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか。
そんなことを学ばせてくれるのが、不得意なこと、つらい経験と言えます。
もしもあなたがつらい思いをしているなら、
今こそ、学んでいるまさにその瞬間なのです!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広