Speaks vol.72  <<影響力に意識的になる>>

あらゆる行動、発言について、
相手にどんな影響を与えられるかを考えてください。
テニスはもちろん、世の中の仕事も会話も育児もその他いろいろも、
相手や周囲の人との関わり合いの中で営まれています。

たとえば就職活動の面接試験。
自分が「採用してほしい」と願うよりも、
相手の面接官に「採用したい!」と思わせる影響力を与えられるように
働きかけるのが有効です。

自分のしたい・やりたい「欲」にとらわれるのではなく、
関わる相手の気持ちを察していい影響を及ぼすように働き掛けると、
結果的にうまくいくということ。

テニスコーチでいえば、
自分がどう教えたいかを考えるよりも、
相手がどう教えてほしいかを察して、
その生徒に影響力を及ぼすレッスンを行うことです。

自分が教えたいことばかりを一方的に伝えても、
生徒が退屈そうにしていて何の影響力も与えられなければ、
その生徒はレッスンに来なかったも同然です。
相手に影響力を及ぼすことで、はじめてそのレッスンは意味があったという解釈になる。
つまり、相手に対してどんな影響を与えられるかで、
結果が違ってくるということになるのです。

テニスの試合でいえば、いくら自分がスピン系ハードヒットが得意だとしても、
相手がラクラクとスライスで深いボールをつないできて
こちらの強打を苦にしていないのだとしたら、
そのスピン系ハードヒットでは何も結果を変えられません。

当たり前のようですけど、
実際にはこんな局面でもやっぱりハードヒットにこだわってプレーしてしまう人が、
ほとんどなのが実情です。

逆に自分は、ボレーは苦手だけど、
ネットに出たら相手はプレッシャーを感じてミスしてくれるのだとしたら、
これは影響力を与えられているということになり、結果を変える力になります。
自己満足を脱して、現実が変わり出すということ。

結果を出す人、成果を残す人、成長する人は、
自分がどうしたいかではなく、
つねに相手との関わり合いを意識し、
いかに影響力を与えられるかに基づいて行動していると言えます。

行動も発言も、スピン系強打も、ボレーも、
もともとは相手に何かしらの影響力を与えるために行うものです。
そうでなければ、自己満足にすぎません。

影響力というものに、ちょっと意識的になってみてください。
結果を出せたり、成長できたりするかもしれません!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広