Speaks vol.70  <<テニスで勝てる人の発想>>

今回は、テニスで勝つ人と負ける人の違いについて説明します。
実は、勝てる人の思考法と、勝てない人の思考法とでは、
明らかな違いがあるのです。

勝つためには、どうすればいいでしょうか?
それには、「物事の大もとについて考える」ことが大切です。
テニスで言えば「競技特性」について考えれば、
おのずと勝ち方がわかってくるということ。
つまりは小手先のテクニックではなく、
テニスというスポーツの全体像を把握しておくことが重要になります。

もしあなたが、「相手にいいショットを打たれるから勝てない!」
「打ち込まれるのが負ける原因だ!」と考えているなら、
今回ご紹介する発想法を手に入れることで、
勝率をグンッとアップさせることができるかもしれません。

テニスというのは、ネットに近いプレーヤーが攻撃的になれる特性のスポーツです。
ゆえに、相手に打ち込まれるというのであれば、
相手はコート内に進入して打ってきている可能性がある。
つまり、「自分のボールが浅くなっている」と気づきます。

自分が劣勢に立たされるのは、
「相手が強いボールを打つから」ではなく、
「自分の打つボールが浅いから」というのが根本原因。
ここに気づけるかどうかが、非常に大きなポイントです。

そこで、前回ご紹介した「先手必勝」。
相手が打ち込んでくるよりも前に、こちらが先に深く打つようにすれば、
打ち込まれる危険性は圧倒的に低くなります。
テニスの競技特性に基づき、これで相手の得点源をつぶせました。
これが、テニスで勝てる人の発想法の一例です。

一方、「打ち込まれるから、一生懸命走ろう」と考えるのは、勝てない人の発想。
「後手」に回っています。
テニスの競技特性を考えずに、打ち込まれた結果だけを見て、
「どうしよう、走らなきゃ」とうろたえる。これでは勝利はおぼつきません。

テニスに限らず物事をうまく行うには、
結果だけを見て場当たり的に対応するのではなく、
一歩引いた広い視野で全体を見ると良いのです。
ひとつの結果ばかりに関心を向けずに、もっと広く俯瞰してみる。
そうすると、思い込みにとらわれずに、正しい物の見方ができるようになります。

とはいえ、人間というのはとかく、「木を見て森を見ず」というふうになりがち。
目の前の問題に右往左往し、視野が狭くなりやすいのです。
そうすると、「自分には才能がない」「素質がない」といって
手立てを考えることを放棄してしまい、絶望感や挫折感にさいなまれたりします。
だからこそ、「一歩引いて見る」ことを意識して行うことが、
とても有効になるんですね。

テニスで勝てるプレーヤーは、競技特性を考える広い視野に立脚し、
現状をコントロールする術を身につけています。
でも「自分は勝てない」「負けてばかりだ」という人でも大丈夫。
少し引いた視点で今の自分のテニスを見つめてみてください。
なぜ勝てないのか、どうすれば勝てるようになるのか、
解決策が見出せるに違いありません!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広