Speaks vol.65  <<人のせいにするのをやめる>>

このspeaksでも何度かお伝えしてきたとおり、

対戦相手は自分を高みに連れて行ってくれる協力者。
敵ではなくて、むしろ味方です。

この考え方を持つと、相手の強力なショット、いやらしい緩急、あるいは精神的圧迫など、
あらゆる試練が自分を強化するための肥やしになり得ます。
特に、自分と近いレベルの人と対戦する時には、
相手はあなたにとって、かけがえのない協力者になるはずです。

自分よりすごくレベルが高い、あるいはすごく低い人と戦う場合には、
実はプレッシャーをあまり感じません。
負けて当たり前、勝って当たり前だからです。
だけど、やってみないと勝ち負けがわからない相手と対戦する場合は、
ものすごいプレッシャーがかかります。
その重圧に耐える苦しみが、力になる。

ところが、せっかくそういう相手とプレーできるというのに、
「何かにつけて人のせい」にする人は、その対戦を肥やしにできません。
例えば「あいつ、チェンジコートの時間が長い」とか、相手のあらばかりを見がち。
「しかもなかなかボールを打たないでいるから、じらされる」など、
自分にとって都合の悪い出来事を嫌がらせのように感じ、
「奴のせいで実力が出せなかった」と、不調の原因を相手のせいにしがちです。

でも、違うのです。
そういう相手のドス黒い(?)行ないも、嫌がらせではなく
「メンタル的に負荷をかけて、自分の精神を鍛えようとしてくれているんだ!」と思えるかどうか。

メンタルも筋肉と同じで、負荷をかけないことには鍛えられません。
ところが不調を「人のせい」にしたりすると、負荷が逃げてしまうので、
いつまでたっても心が強くならないのです。

何か都合の悪いことを、人のせいにするのをやめましょう。
人のせいにしていないか、振り返ってみましょう。
リードされたり、あるいはたとえ汚いジャッジをされたりしたとしても、
自分を鍛える肥やしだと思って対戦相手に感謝する。

そういう姿勢が、あなたを強くするに違いありません!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広