Speaks vol.59  <<6割できたら次へ進もう!>>

伸び悩むのには、ちゃんとしたワケがあります。
「なぜ伸びないんだろう」と悩んでいる人は、伸びるための原則に従っていないのです。

どういうことかというと、

伸び悩むという人は、すでにできることをコツコツやって、やった気になっている人です。
できることだから、あんまり失敗はしない。
だから安心して毎回同じメニューをやる。

せっかく伸びる素地はあるのになかなか伸びてこないという人は、
実はこういう「できることを繰り返しやってしまう」サイクルにはまり込んでいるのです。

ものごと、100点満点ではなくても、ある程度の合格ラインに達したら
どんどん次に進んだほうがいい。
その合格ラインというのが、テニスで言えば60点程度。

つまり、ストロークが6割程度打てるようになったら、
次はボレー、次はサーブと、どんどん新しいメニューに取り組んでいくと良いのです。
これが、どんどん伸びる人の取り組み方。
あるいは、ストロークがラリーで6割できるようになったら、
次は「相手に対してどう使うか」を考える実戦的なメニューへの展開も考えられるでしょう。

要は、同じメニューの繰り返しで「できていることの確認作業」に終始するばかりではなく、
できていないことにどんどん取り組んでほしい。
そうしないと、一生懸命努力している割に、時間と労力を費やしている割に、
「あんまり変わらない」「進化しない」ということになってしまいます。

そういう意味では、「得意なところを伸ばせ」という発想は、実は危険。
得意なことは好きだから、ついやりたくなるけれど、
それだけにとらわれてしまっては、大胆な進化は望みにくい。
得意にこだわり、武器を磨くことはあっていい。
だけど一方では、不得意にも労力を配分すれば、もっともっと伸びしろが残されている分、
トータルで見れば大胆な進化を達成しやすいのです。

得意にこだわるのはいいけれど、とらわれてはいけない、ということです。

もちろん、新しいことにトライするのには不安がつきまといます。抵抗感もあるでしょう。
クロスラリーから、今まで打ったことのないストレートに展開するには、勇気が必要。
でも、失敗を恐れていては、クロスラリーを続けるレベルでとどまってしまうのは目に見えています。

失敗したって構いません、そのための練習なのですから。
練習でいっぱい失敗しておけば、そのトライ&エラーの数が多ければ多いほど、
本番でのリスクを軽減できるようになってきます。

今日、「できていることの確認作業」はやめて、
「できていない新しい何か」にトライしてみてはいかがでしょうか?
大胆な進化を遂げる第一歩です!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広