Speaks vol.54  <<努力>>

努力すれば、この先何かいいことが起きると思って、頑張って努力する。
確かに尊いですが、もう1ランクレベルを上げられると、
よりハッピーになれるような気がします。

それは、「努力すること=いいことである」という考え方。
そう、今頑張っているあなたは、それだけですでにハッピーなのです!

努力した先に何かいいことがあると考えて頑張っていると、
「今」に集中しにくくなります。
つまり、その先の「いいこと」に、気が行ってしまっている状態。

しかし「努力すること=いいこと」の方程式に従えば、
まさに頑張っている「今」こそハッピーなわけだし、
気持ちを、現在取り組んでいる仕事に集中させることができます。

たとえばテニスの試合中でも、
まだ起きていない未来のことについて、不安に思いにくくなります。
失敗した過去のことに、クヨクヨしにくくもなる。
集中して、今の1打1打にきちんと気を入れて、向き合えるようになるのです。

結果ではなく、プロセスが大事とはすなわち、
未来に期待するのではなく、努力している今を重んじる考え方。

もちろん人間ですから、未来を不安に思ったり、
過去を悔やんだりすることもあるでしょう。
むしろ気持ちは、未来や過去を行ったり来たりするのが普通。

「次のサービス、失敗するかも…」
「さっきのミスショットがなければ…」というマイナスイメージが、
次の1打に何の良い効果をもたらすことはないと知っていても、
未来や過去について考えてしまうものです。

でも、そうやって揺らぐことがあったら、戻ればいいじゃないですか。
そのための手段として、「努力すること=いいこと」という考え方が、あなたの力になります。
今に集中し、仕事やテニス、日常生活に、ちゃんと向き合えるようになるはずです。

努力している今のあなたは、確実にプラス。
少なくとも、絶対にマイナスではありません。
努力は決して裏切らないのです!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広