Speaks vol.53  <<有言実行でいこう!>>

前回は「我ままのススメ」についてお話しました。
「我まま=我のまま」と考え、それを実践すれば、

人に過剰に気を使うことなく自分らしい生き方、
考え方ができるのではないかという提案でした。

しかし、我ままになるというのは、案外大変です。
なぜなら、自分の主張を通すには、努力が必要になるから。
言ってしまったら、やらなきゃいけないから。
一度タンカを切ったら、もう逃げ道がなくなるからです。

だけど、それくらいの気持ちで事に当たらない限りは、
その人のやりたいことなんて、実はそれほどやりたいことではないのです。

テニスがうまくなりたいという人は、それを公言し、やるべきことをやります。
そのためには、トレーニングなどももちろんですが、
自分でコートを手配するなどの雑事もこなさなければなりません。
そうしてでも、自分はテニスが強くなりたい。
「我のまま」であらんとします。

ところがテニスがどうも煮え切らない人というのは、
どうもそこらあたりで腹をくくれていない雰囲気が濃厚。
「テニスがうまくなりたいっ!」という勢いがなく、
「うまくなれたら、いっかな~」みたいな程度。

どこか、「有言実行」を避けて、努力せずに済ませる。
逃げ道を取っておこうとする思惑が透けて見えるのです。
「コートの手配なんか、誰かがやってくれるだろう」という程度にしか考えていません。

もちろん、ビッグマウスは困りますが、
自分が主張しないのは、さらに良くない。
たとえば周りが反対するにも関わらず、
「東京に出て、ビッグアーティストになってやる!」と我ままを言える人は、
何も言わない人に比べて、成功する確率はかなり高いに違いありません!

公言してしまったら、努力しなければならない。
やるべきことに、きちんと向き合う強さも必要になる。
我を通すには、我ままになるには、頑張らなければならなくなるのです!

でも、本当に自分がやりたいことをやり、
我のままに生きたいのなら、我ままを言ってしまった方がいい。
「有限実行」でいきましょう!
やりたいことを言うだけで、物事の成功する確率はグーンと上がります。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広