Speaks vol.47  <<変わるための唯一の方法>>

ボレーのレッスンで「強く打ってください」と指導した場合、
その反応は2種類。
ひとつは、実際に言われたことを試そうとするタイプ。
そしてもうひとつは、「ボレーは強く打ってはいけない」という認識があり、
コーチに言われてもやらないタイプ。

あなたはどちらでしょうか?
後者の(やらない)タイプだとしたら、可能性を自ら閉ざし、
せっかくの進化、変化、成長の芽を摘んでしまっている危険性が大いにあります。

指導する立場の人間は、つねに先を見越してアドバイスしています。
ボレーを強く打ったことがない人が、強く打ってみると、
「フォームが崩れる」
「うまく打てない」
「狙えない」ということが、身を持ってわかります。

一方では、
「積極性が生まれる」
「プレッシャーをかけられる」
「コントロールするにはどうすればいいのかがわかる」などについて、
気づけるようにもなるでしょう。

ここでよく考えてほしいのは、ひとつのアドバイスに対してなぜ、
実際に強く打った人と、打たなかった人の2タイプが存在したのかということです。

決定的な両者の違いは、
「結果を気にしたか、気にしなかったか」です。
強く打ってミスするその「結果を気にした」人は、強く打てません。
結果を気にせず「とにかく行動した」人が、強く打ったのです。

人が進化、変化、成長するには、「行動」なくしてありえません。
結果を気にすると行動できませんが、
行動すると、結果はついてきます。
つまり、プライオリティは徹底的に、行動優先。
これを心がけるべきなのです。

そしてもうひとつ、ボレーを強く打たなかった人は、
物事を自分の尺度でしか計らないきらいがあります。
「ボレーは強く打ってはいけない」という尺度でしかジャッジできないと、
その人の中に今までなかった新しい提案、アドバイスは、すべて無効。
「このコーチ、わかってないわ」という烙印を押して、
自らの可能性を閉ざしてしまうのです。

でも本当は、そういう人ほど「変わりたい」と思っています。
ホントは自分が一歩踏み出せないことを、よく知っています。
でも、「強く打っても無駄に違いない」という自分の尺度で判断するから、
「そんなの失敗するに決まっている」という「結果」が気になり、
「行動」を起こせなくなるのです。

自分の尺度でしか考えられない人は、
せっかく変われるチャンスが目の前にあるのに、変わりません。
行動を起こせないからです。

行動するのは、なんだかんだ言って、大変です。
毎日同じことを繰り返して生活しているほうが、それはラク。
やり慣れているワークをこせばいいだけです。

でもよく考えてほしいのは、私たちは毎日が何となく同じだと思っているけれど、
まったく同じ日など絶対にありません。

「毎日が違うと思った人が成功する」という教えがあります。
同じことをやっていても、「毎日違うことをやっているんだ」と思って取り組んでいるかどうか。
そういう人は、アンテナの張り方が「毎日が何となく同じ」と思っている人とはまったく違うから、
どんどん行動するし、結果も残します。

次回は、この考え方をテニスに活用する方法をお伝えします!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広