Speaks vol.46  <<気づく>>

あなたは、いろいろなことに敏感に気づける人でしょうか?
気づきにくい人でしょうか?

気づきにくい人は、「自分が気づきにくい人である」ということにすら、
気づいていないものです。
自分はちょっと気づきにくいかも、という自覚を持っているくらいの人が、
案外敏感だったりするのかもしれません。

ところで、いろいろなことに気づけるようになると、
物事をもっとうまくこなせるようになります。
今回は「気づく」というテーマで解説していきましょう。

たとえばテニスの試合で相手のストローカーが、
「何となくストレートを狙ってくることが分かった」というのは、
その人が、相手のストローカーの何かに、気づいたからです。

それはひらめき、勘にも似ていますが、実際に「何となく気づく」場合がある。
その根拠を分析してみると、その人が相手ストローカーを、
「よく観察できていた」ということになります。

気づけるかどうかは、観察力に依拠します。
対象物にフォーカスし、挙動を読み取り、
そこから過去に経験、蓄積した情報と照らし合わせて、
「何となくストレートにくる」ということに気づけるのです。

逆にいえば、観察力のない人は、まったく気づけません。
「なぜストレートを抜かれたの???」と分からないまま。
この違いが大きいのです。

あるいは、気づける人は視野が広くもあります。
たとえばストロークを打とうとするときに、
視野が広ければ、相手プレーヤーの動きに何となく気づくから、
空いたオープンスペースにパッシングを打てたりします。

視野が広いとは、思考の幅の広さだけではなく、
文字通り、目に見える視野の広さも意味します。
視野が広い人は情報収集量が増えるから、気づける機会も自然と多くなるのです。

試合前のサービス練習で、
対戦相手がものすごいスピードショットを打っていたら、どう感じますか?
「勝てっこない」と思うのは、視野が狭い証拠です。

ここで、「だけど、入る確率は悪そうだ」
「1stは速いけど、2ndはそうでもないな」
「確かに速いけど、変化は少ないから面さえ合わせれば返せそう」
「コースはセンター中心だから、予測を立てやすい」などのもろもろに、
視野を広くして気づけることが大事なのです。

気づけない人は極端な話になると、
ゲーム開始から5ゲームが終わってはじめて、
「対戦相手が左利きだった」ことに気づくという例も……。

観察力を意識的に高め、視野を広くし、
情報収集量を増やすように、日ごろから心がけましょう。
いろいろなことに何となく気づけるようになり、
実際に物事が好転し始めるはずです!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広