Speaks vol.85  <<問題意識の重要性>>

テニスを始めて少し打てるようになると、
今の自分に満足してしまうということが、よくあります。

だけどそんなときに、自分よりもレベルがずっと高い人と打ち合い、
力の差を見せつけられると、「自分はまだまだ」と気づく。
そのレベルに到達するにはどうすればいいかと考え始めるでしょう。
これが「問題意識」です。

人が進化・成長を遂げるためには、
実はこの「問題意識」というのが必要不可欠。

今の自分に満足してしまわず、
「まだ改善できる点はないか」と、自分で自分の問題を作り出せる人が、
伸びていけるのです。

だけど人は、問題を抱えたくない生き物だから、
あえて自分から問題を作り出そうとはしないのが一般的。
こうなると、進化・成長はストップしてしまうわけですね。
「自分は変わりたい」と言いながら変われないのは、こういう理由によります。

「問題意識」を持てるかどうかは、
上昇志向の度合いに比例すると言えます。
テニスがどうしてもうまくなりたいという人は、
スキルはもちろん、フィジカルからラケットのチューニングに至るまで、
自ら自然と改善点を探り当てようとするセンサーを働かせます。

「体力は今のままでいいか?」
「ラケットのウェイトを上げた方が、パワーアップできるのではないか?」と
いった具合。
だけど「楽しめればいいや~」という程度の人は、
「ラケットなんてガットが張ってあれば十分!」と思っているでしょう(笑)

この意識の違いが、人の進化・成長の度合いを
決めていると言っても過言ではありません。

とはいえ人は、身の回りのあらゆることに対して
高い「問題意識」を持つということはありません。
テニスプレーヤーなら、テニスにはとことんこだわるけれど、
ヘアースタイルは二の次かもしれない。
だけどモデルさんであれば、
スタイリングから使用するアイテムに至るまで、
とことんこだわり、気を使うに違いありません。

要は、自分の思い入れが強くなるほど、
「問題意識」に気づきやすく、
進化・成長のためのきっかけをつかめやすくなるということ。

「問題意識」というと、ネガティブなイメージを持つ人もいるかましれませんが、
それは自分をよりよくしていくための、とても重要な視点です。
問題を抱えることに、後ろ向きにならないでください。

むしろ、自分から前向きに問題を見つけ出して、
解決しようとしていく姿勢が大切。
その繰り返しにより、どんどん高みに昇っていくことができるのですから!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広