Speaks vol.14  <<狙う! そこには遊び心>>

普段、われわれの練習会でも「狙う」ということを
皆さんにお伝えしていますが、
それが一体何なのか、なかなかその感覚がつかみづらいのではないでしょうか?
今回は、この「狙う」をアメリカ人と日本人との対比を踏まえ、
どういった思考、感覚なのか、お話ししたいと思います。

日本人は、その教えられ方の影響もあると思いますが、
どうしても「いかに上手いショットを打つか」にその意識が注がれる
傾向にあると感じます。
ボレー1つをとってみても、日本人はラケット面を上から下にきれいに入れて
シューッとした伸びのあるボールを打とうと一生懸命です。
ところが、アメリカ人はそんな価値観は微塵もありません。
ボレーはアタックゾーン、フィニッシュゾーンでの攻撃的なショット。
「何でも良いから押し込んで決める!」ためのショットと考えているのです。
したがって、日本人から見ると「何だ、あの下手くそなボレーは!」
という感じで、スイートスポットに当たらず、ガシャガシャでも
相手コートにボールが落ちて決まれば、「カモーーン!!」なのです。
それが、どんな一般プレーヤーでもアメリカ人はみんなそう。

ここには、どんな考え方の違いがあるのでしょうか?
アメリカ人は、「いかに良い、上手いショットを打つか」よりも
「いかにオールコートを縦横無尽に使って相手を翻弄するか」に
強く意識を注いでいるように感じます。
それは何故か?
テニスというゲームは、上手いショット品評会ではないからです。
いかに相手よりも多くボールを打ち返し、ポイントを奪うかを競い合うゲーム
であると、テニスというゲームの本質をアメリカ人は捉えているのでしょう。、
「ほらこっちに打ってやるぞ、今度はこっちだ」、「そう来たか、だったらこっちだ」
というように遊び心をもって、相手と競い合う姿勢がそこには見えます。

日本人は、「今日はフォアハンドの調子が悪いな・・・」といった感じで、
ショットの良否が先にあって、「狙う」ことの意識が曖昧なケースが
多いと感じます。「狙い」が曖昧で、何をしているかよくわからなくなってしまう
のが、日本人がよく陥るパターン。
それに対して、狙って、狙って、でもそこに上手く打つことができなくなって
おかしくなるのがアメリカ人のパターン。
何も皆さんにアメリカ人のようになれ、と言っているわけではないのですが、
スキル向上と同時に、ポイントを取るためにオールコートで
狙っていく姿勢も是非取り入れていっていただきたいと思います。

型通りのプレイばかりでなく、遊び心をもってオールコートで
いかにポイントを取りに行くか、
これを自分で一生懸命考えることが、テニスの醍醐味の1つだと思います。

トッププレーヤーもみな、遊び心をもってプレイしています。
皆さんも「このポイント、このボールをどうしようか、どこにどうやって打とうか」
をまず考え、決めてから、「意志をもったボール」を打つようにしましょう!