Speaks vol.220
<<常識を疑う>>
「普通はそうでしょう!」という、
いわゆる「常識」があります。
だけど案外、そうじゃないケースもあって、
常識を鵜呑みにせず再確認・再検討すると、
「なるほど!」と新たな視点を得られる発見もあったりします。
たとえばテニスでは「ボールをよく見る」というのは、
一般的に広く認められている常識ではないでしょうか?
だから疑いもなくボールをよく見るのだけれど、
「なぜだか上手くいかない…」。
そんな不調にさいなまれる悩みは、ないでしょうか?
実は凝視すると、ボールは確かに見えるのだけれど、
コントロールが悪くなったり、
対戦相手の様子が分からないから不利を招いたりというふうに、
実際のプレーではマイナスになりがちです。
なぜそうなるかというと、ボールを凝視すると、
「周辺視野が狭くなるから」というのがその理由。
ボールの背景に展開するコートや対戦相手の様子を感じられなくなるから、
狙いを定められず、コントロールが悪くなったりしやすいのです。
だったら常識を破ってボールを凝視しないプレーを、
試してみてはいかがでしょうか?
全体を広く捉える視野のなかに、
動く黄色いボールを見るようにすると、
トータルで上手くいきます。
すなわち相手コートの様子が感じられるから、狙いが定まり、
コントロールもよくなるというふうになりやすいのです。
もうひとつ例をあげましょう。
「バランスが大事」というのは常識です。
そこでもう一歩踏み込んで、
「ではバランスを取るためにどうするか?」と問うてみる。
すると多くの場合、
「どっしり止まると安定する」という常識が採用されがちです。
止まって安定している状態は、
バランスが一時的に取れているのであって、
バランスを持続的に取っているわけではありません。
たとえばピエロのボール乗りは、
ボールの上で自分が止まるために、
微妙に動き続けるから、バランスが安定しているのです。
テニスも同じです。
テニスでは軸を確保するために、
上半身を安定させる必要があります。
軸を確保すれば、回転軸が定まるから、
バランスよく鋭いスイングができます。
また前方を広く見る視野を保つ目的でも軸は機能します。
ではどうすれば上半身を安定させることができるかというと、
ピエロのボール乗りと同じで、
下半身は細かく動かし続けなければなりません。
これが「バランスを取るためにどうするか?」の、
問いに対する答えです。
実は動いているからこそ、バランスが取れていて、
止まっているように映る。
これって、すごい違いです。
今回は「ボールをよく見る」
「バランスを取るためには止まると安定する」
という常識を疑ってみました。
ほかにもまだまだ「疑うべき常識」があるかもしれません。
常識を鵜呑みにせず、再確認・再検討してみてはいかがでしょうか?
それによって新たな視点を得られる可能性が高まります!
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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