Speaks vol.219
  <<軸を見失わない>>

僕のテニスレッスンではよく、体幹の話をします。
体幹を形成する軸が左右にあり、「2軸で打ちましょう」と説明します。

比喩的な言い方をすれば、
軸を基軸としてスイングというストーリーが紡がれます。

2軸の入れ替えにより体幹が回転し、ラケットが振り出され、
インパクトしたのちに、鋭いフォロースルーへとつながっていく一連のストーリー。
軸が、重要です。

これは何も、テニスのスイングに限った話ではなく、
物事の考え方にも通じると思います。

最近の若者は読解力が不足していると、ささやかれます。
文章を読むと、伝えている内容とは、違う解釈をしてしまうそうです。
結論から言うと、話の軸を見失うからです。

分からない、知らないワードは飛ばして聞いて、
断片を切り取るから、解釈が変わってしまう。
でも、その分からない、知らないワードこそ、軸だったりします。

テニスのレッスンも同じです。
説明をしていると、首を傾げる生徒さんがたまにいます。

分からない、知らないワードが出てきた時に、
それを飛ばし、断片を切り取る、あるいは思い込みにより、
自分の都合に合わせて解釈してしまうのです。

たとえば「体重移動しないように、2軸を入れ替えて打ちましょう」と説明したとしても、
本人の中では「体重移動するのは当たり前!」と思い込んでいるから、
伝えている内容とは違った解釈が出てきてしまう。

「そうか、軸から軸へ体重を移せばいいんだ!」などという、
真逆の解釈すら、出てきてしまうのです。

でもここでは、「体重移動しない」が大前提の説明。
ストーリーの基軸が、見失なわれています。

話は脱線しますが皆さん周知の、
全仏オープン女子ダブルスの加藤未唯による一連の騒動。
今なお論争が続き、レジェンドから元ボールキッズまで、
さまざまな人がいろんな意見を出しています。

そんな中「故意とか故意じゃないとか関係なく、当てたらアウトでしょ!」と言う、
ニック・キリオスのコメントが僕にはいちばんしっくりきました。

そもそも当てたのは危険行為。
そこへ判定が覆ったとか、相手ペアが冷笑したとかの枝葉の話がくっついて、
大問題にまで発展してしまいました。

もちろんいろんな考え方も認めるけれど、
これも「そもそもは何?」という基軸の話。

周りにくっついている、いろんな装飾の枝葉を取っ払うと、
話は極めてシンプルです。

テニスの上達も枝葉を気にすると、頭がパンクしてしまいます。
フットワークは走ったほうがいいのか、
ステップのほうがいいのかと考えるから、複雑になる。

そもそも進めばいい。
あるいは適切に止まれればよい。
以上です。

迷ったり悩んだりしたら、
この「そもそも理論」で考えてみてはいかがでしょうか?

フレンチの騒動は、そもそもどうして起こったのか?
テニスの試合で勝つには、そもそも何が必要か?
友人と喧嘩をした、あるいは仕事で取引先と揉めた。
そのトラブルの原因は、そもそも何だったのか?

こう考えると、ストーリーの軸を見失わずに済み、
問題点やその解決法、今後どうすればいいのかの課題などが、
自ずと見えてくるはずです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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