Speaks vol.214
  <<受け入れて克服すると、そこに価値が生まれる>>

「聞く」「聴く」「訊く」「効く」で、
テニスのプレーを語り尽くせるという話を、
2回に渡りお伝えしました。

テニスで自分から、
コースや速さや深さや回転量などの情報を発信できるのは、
サービスだけ。

ほかのショットはすべて、
情報を受け取る側としてプレーはスタートします。

そのプロセスは、以下のとおりでした。

1.相手が打ってきたショットがどちらサイドに来るのかの情報を「聞く」。

2.どのくらいのスピード、どのくらいの深さなのかなどを、より詳しく「聴く」。

3.自分で打ち返したショットによって、相手がどう反応・対応するかを「訊く」。

4.自分が打ち返したショットが効果的なのか、確かめる意味の「効く」。

つい自分がどう打つかの、
情報を発信する「話す」ばかりになりがちなので、
そこを改めるとテニスが変わるという内容でした。

だけどこういう情報が必要な人に限って、
話を「聞かない」場合が少なくありません。

往々にして人は、
「聞きたいことしか聞かない」と言われます。

だから「あなたは短気だ!」
「ここを直したほうがいい!」などとアドバイスをしても、
素直に聞き入れられる人は少数派でしょう。

レッスンではストロークが好きな生徒さんに、
「ボレーの練習をします」と言うと、
コーチの話を聞かなくなる人もいます。

もちろんそれは自由だけれど、
好き嫌いが関わるゆえに、
情報の受信量・受信精度に、かなりの片寄りが生じます。

スマホで情報を全部検索できるといっても、
人は、自分が見たい情報しか見ないのと同じです。
すると知らず知らずのうちに、盲点ができる。

たとえば僕自身、
過去に同じところで同じパターンのミスをすることが、
試合でたびたびありました。

そこは、見たくない…。
だけど見ようとしないから、
気づかないままになっていたのです。

見たくないけど、そこを受け入れた。
それにより壁を突破できた経験があります。

初心者であれば、
「俺は緊張なんてしないから!」という人ほど、
はたから見ると「緊張しまくっている」ケースが少なくありません。

緊張している話を受け入れない限り、
その人は知らず知らずのうちに、
緊張の呪縛にとらわれ、
緊張の度合いを強めてしまいます。

自分に襲いかかる緊張や不安、
あるいは怖さや弱さを受け入れてこそ、
人は強くなるのではないでしょうか。

スケートの浅田真央さんはジュニアのころから、
シニアの大会でもトリプルアクセルを決めて優勝していました。

しかし大人になるにつれて、
ジャンプが怖くなった時期があったそうです。

子どもだったそれまでは、
ジャンプの怖さに気づかなくて、
「ピョンと飛んだらできていた」のだけれど、
その怖さを知れば知るほど、飛べなくなったそうです。

「だから嫌い」「怖いからやめる」と言って投げ出してしまうのではなく、
困難を受け入れて克服できたら、そこにすごい価値が生まれます。

これはレベルや分野を問わず、
どんな人に対しても通用すること。

初心者が緊張を受け入れて克服するのも、
短気の人がその性格を受け入れて改善するのも、
病人が症状を受け入れて、なんとか生きようと死にあらがうのも、
それぞれが、すごい価値です。

その経験や学びによって、
他人を救えたり、勇気を与えたりできる可能性もあります。

次回に続きます。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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