Speaks vol.211
<<チャレンジ精神でいこう!>>
対戦相手は「協力者」だと考えることで、
ネガティブモードに陥らずに済むと、
前回のスピークスでお伝えしました。
対戦相手は自分を高めるために、
「負荷」をかけてくれている存在。
人間関係も同じで、
自分にとって「苦手な人」「合わない人」というのは、
負荷をかけてくれている「協力者」であり、
本当は違うけど「わざと困らせるように演じてくれている!」ととらえることで、
対応力を培うレベルアップが叶います。
改めてこの考え方を、
テニスの試合で直面する3つのシチュエーションに当てはめると、
どんな相手に対しても高次のメンタルレベルを保てるようになります。
早速紹介していきましょう!
「シチュエーション1」は、
対戦相手が明らかに自分よりも格上の場合。
自他ともに認める雲の上の存在、
そんなプレーヤーと戦うケースでは、
メンタルレベルが最劣位の「あきらめ」モードに陥りがちです。
メンタルの階層について復習しておくと、
レベルが高い順に下記のとおり。
「1.挑戦(CHALLENGE)」
「2.ビビり(CHOKE)」
「3.怒り(ANGER)」
「4.あきらめ(TANK)」
この「シチュエーション1」では、
戦う前から「どうせ勝てるわけがない…」と決めつけて、
負け前提で入ってしまいかねません。
しかし対戦相手が「協力者」だと考えると、
上手い相手ほど上手い協力者なのだから、
上手く自分を引き上げてくれる可能性があります。
その試合を通じて学べる点も、
たくさんあるでしょう。
こう考えるとメンタルレベルは「あきらめ」から一転して、
最高位の「チャレンジ」モードで、格上相手の試合に臨めます。
それによりアップセットを実現した過去の実例も、
最後に紹介します。
「シチュエーション2」は、
自分と対戦相手がほぼ互角・同格の場合。
頑張ったら勝てる。
しかも過去に1回勝っているという、
どっこいどっこいのケースです。
レベル別でエントリーする一般プレーヤーにとっては、
最もよくあるのがこの「シチュエーション2」ではないでしょうか。
こういう場合にこそ、
「この相手に負けるのは絶対に嫌だ!」という気持ちが、
最も強くなりがちです。
その思いが先走ると、
「ビビり」「怒り」のメンタルへと、
レベルダウンしかねません。
そこで、自分にとって嫌な相手は、
人間関係の対応力を培う「協力者」だという考え方を、
ここで応用します。
つまり、相手は「負荷」をかけてくれている存在。
「わざと困らせるように、演じてくれているのだ!」ととらえます。
この思考法により、
「負けるのは嫌だ!」という「嫌」の思いを乗り越えやすくなり、
「チャレンジ」のメンタルレベルを維持しやすくなります。
勝てそうもない格上相手の「シチュエーション1」や、
次に紹介する、勝って当然な格下相手の「シチュエーション3」では、
そこまで「嫌」の気持ちは生じません。
だからこそ、実力的に互角・同格の相手を「協力者」ととらえ、
メンタルレベルをしっかり「チャレンジ」にキープすることが大切です。
最後の「シチュエーション3」は、
下馬評として「この相手には負けるはずがない」という場合。
対戦相手が格下だから、
戦う前から「勝てる」と決めつけて、ナメてかかる。
その結果、足元をすくわれるケースが珍しくありません。
つまり相手からの「負荷」はまったく感じられず、
挑戦しようとする気概すらなくなってしまうのです。
そういうシチュエーションであっても、
相手が「自分の精神性を律するための負荷」をかけてくれているととらえると、
やはりチャレンジ精神を持って試合に臨めるのです。
対戦相手を見くびるような態度を改めて、
自分の器を大きくするチャンスとすらいえるでしょう。
さて最後の「シチュエーション3」に関して思い出されるのは、
「有明の奇跡」と呼ばれた94年フェド杯準々決勝、
シュテフィ・グラフと伊達公子の一戦です。
当時世界1位の女王だったグラフは早めの勝利を見据え、
帰りの飛行機をすでに予約していました。
ところが試合はもつれにもつれて大接戦。
3時間25分の長時間に及び、
7-6、3-6、最終セットは12-10で、伊達が勝利したのでした。
結局グラフはフライトに間に合わず、
帰国できなかったといいます。
グラフはもしかすると「シチュエーション3」で、
かすかに「ナメてかかる」メンタルに、
支配されていたのかもしれません。
一方の伊達は「シチュエーション1」の立場。
「あきらめ」から一転して最高位の「チャレンジ」モードで、
格上相手の試合に臨めたといえます。
今回は試合に出るテニスプレーヤーであれば誰もが直面する、
3つのシチュエーションについて紹介しました。
どのシチュエーションであっても考え方しだいで、
メンタルレベルを最高位の「チャレンジ」に維持することが可能。
テニスの試合や、人間関係のほか、
受験や就職試験などにも幅広く応用できると思います。
ぜひ、役立ててみてください!
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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