Speaks vol.195
  <<細かなところに気を配る>>

2021年全仏オープン男子シングルス決勝戦は、
赤土の王者ナダルを下して、
ジョコビッチが大会2度目の優勝を果たし、
グランドスラム通算19勝を達成しました。

ところでこれまでの両者の対戦成績について、
ご存知だったでしょうか?

その決勝戦を迎える時点で57戦中、
ナダル28勝、ジョコビッチ29勝でした。

まるで図ったかのような、
ほぼイーブンの戦績です。

仮に57勝0敗だとしたら、
0の方が圧倒的にスキルが足りないなどの大きな差があるのは、
火を見るより明らかです。

28勝と29勝で勝敗を分けたのは、
すごく些細な差だったに違いありません。

それが一説には、
今年から新たに導入されたナイトセッションでは湿度や気温が変化して、
ナダルのトップスピンに影響したとも伝えられます。

それがすべてではないでしょうけれども、
両者の実力としてはほとんど差がないところに、
ほんのわずかな環境としての差が出た結果との見方も、
できるのかもしれません。

これは何もプロの世界だけの話ではなくて、
一般プレーヤーも同様です。

みんな、100%上達したいと思っています。
100%試合で勝ちたいと思っています。

同じカテゴリーの試合に出るのだから、
年齢もフィジカルもそれほど大差はないに違いありません。

そこで差がつくとすれば、
「細かなところに気を配れるかどうか」ではないでしょうか。

たとえば道具ひとつとっても、
試合中にストリングが切れるかもしれないから、
予備のラケットを持っていこうと気を配れる人と、
そんなこと何も考えずに、
1本だけしか持っていかない人の差。

あるいはシューズでも、
サーフェスが変わるかもしれない場合、
オムニ・クレーコート用とハードコート用の両方を持っていこうと気を配れる人と、
オールコート用の1足だけしか持っていかない人の差。

もちろん余分に持っていったからといって、
使わない場合もあるでしょうけれども、
そういった細部にまで気を配れる人のほうが、
上達できるし、勝てる差となって現れるように思います。

ラケットを2本持っていく人は、
ストリングのテンションなどにも気を配るだろうし、
シューズを2足持っていく人は、
フットワークについても意識が高いといえるからです。

そうしたわずかな差が、
明暗を分ける一因となり、
将来的にはわずかな差が積み重なって、
大きな差となり現れるのではないでしょうか。

というのも僕自身、経験があります。
若いころ先輩方と話をしていたとき、
「テニスの上手い人は、そんな細かいところまで考えているのか!」と驚き、
そこまで考えが及ばなかった自分との差に、打ちのめされたのでした。

その先輩方と話をしていると、頭が疲れてきて、
自分は考えることを放棄せざるを得なかったのです。

差がつくのには、何らかの理由があります。
練習不足で負けるのは、当たり前。
テストでも勉強不足で点が取れないのは、当たり前。

だけどそうではなくて僅差なのだとしたら、
センスや才能の有無がウンヌンなどではなくて、
細かいところまで気を配れるかどうかが、
差を生むひとつの違いといえます。

「天才とは、1%の才能と、99%の努力」。
こう言ったのは、発明家のエジソンでした。

名言は「努力」の一言でまとめられていますが、
そのなかには「気を配れる細やかさ」も、
含まれているに違いありません。

道具でも、練習でも、試合の戦術などでも、
今よりももう少しだけ、
細かなところまで気を配ってみてはいかがでしょうか?

わずかな差が積み重なり、
将来的には、大きな差となって現れるはずです。

ちなみにナダルとジョコビッチの対戦成績は、
今年の全仏オープンを終えた58戦のうち、
ナダル28勝、ジョコビッチ30勝となりました。

テニス史上、最も多く対戦し続けている2人なのだそうです。
今後もこのライバル対決からは、目が離せそうにありません!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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