Speaks vol.187
  <<「厚み」のある活動で相乗効果を発揮する>>

前回のスピークスでは、物事の共通点を抽出して、
考え方として使えるものを応用する、
いわゆる「一事が万事」の話をしました。

「テニスはテニス」「仕事は仕事」といった具合に、
物事を分け隔てるのではなくて、
工夫や、駆け引き、メンタルなどは、
互いに応用し合えるからその相乗効果が働くため、
普通ではない結果が出るという内容でした。

テニスをするように仕事をし、
仕事をするようにテニスをする。
その好例として、大坂なおみを取り上げました。

プロのテニス選手にとっての成功は、
言うまでもなくグランドスラムでの優勝。

しかし彼女はそれだけではなく、
人種差別抗議について世論に訴え、
グランドスラム優勝者であるとともに、
「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれたのです。

裏を返して言えば、
人種差別抗議を世論に訴えるメンタリティ、思考、行動力が、
グランドスラムの優勝を達成する相乗効果として働いたとする見方も、
できるのではないでしょうか。

警察官により射殺された黒人男性を含め、
用意した7人分の人種差別被害者名を記した黒いマスクをすべて見せるには、
決勝まで進む勝ち上がりがマストでした。

人種差別抗議そのものは、
一見するだけだとテニスのパフォーマンスとは、
関係ないように映る。

しかし彼女の中ではつながり合っていて、
その活動の「厚み」がパフォーマンスの向上、
そして人間としての成長につながったのではないかと思うのです。

前回のスピークスで、
テニスで普通ではない結果を出すには、
コートでボールを打つ「テニスそのもの」以外に、
「ランニング」をしたり、「トレーニング」をしたり、
「本」を読んだり、「食事」に気をつかったりする活動がつながり合って、
相乗効果が働くと記しました。

それぞれをセパレートしてしまう場合に比べて、
活動の幅は圧倒的な「厚み」を持ちます。

もう1人、ノバク・ジョコビッチの例を挙げます。
新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で中止になったテニス界を、
何とか盛り上げようとアドリア・ツアーを自主開催。

結果的に自身を含め感染者を出し、世間から叩かれはしたけれど、
その裏では内戦等によって離散したバルカン諸国の人々が、
再びつながり合えるように働きかける意図があったと伝えられます。

ツアーにより集まった資金は、
地域の人道支援計画に充てられる予定でもありました。

大坂は人種差別問題と、ジョコビッチは戦争と、
テニスを関連させて、世論に訴えかけた活動の「厚み」がすごいのです。

「厚み」とは、「深さ」とも言い換えられます。
テニスの話をした時に、
たまに「深いですねー」と言われます。

そういう人はあたかもテニスが、
人生の本質につながるような捉え方をするという点で、
程度や規模の差こそあれ大坂やジョコビッチに通じるものがあり、
その考え方がまた、テニスの結果として表れます。

テニスが上達したい、
試合で勝てるようになりたいとすると、
ややもすればコート上でボールを打つ「テニスそのもの」ばかりに、
活動が限定されてしまいがちです。

もちろんそれも必要。
しかしそれだけだと「厚み」は出にくい。

さまざまな活動の中から物事の共通点を抽出して、
考え方として使えるものをテニスに応用してみてはいかがでしょうか。
普通ではない上達や強化につながる可能性があります。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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