Speaks vol.05  <<フレンチオープン・ナダルが勝ってコリアが勝てない理由>>

ウィンブルドンでは、男子は見事フェデラーが3連勝、女子はヴィーナス・ウィリアムスが
復活の勝利を飾りました。
ウィンブルドンについては、また次号でふれさせていただくとして、今号ではちょっと前の話に
なりますが、あえてフレンチオープンについてお話しさせていただきます。

ナダルのプレーはすごかったですね。
マスターズシリーズ、フレンチの前哨戦であるクレーコートで連勝を飾り、
優勝候補に挙げられていましたが、本当に優勝してしまいました。
すごい事ですよね。

では、その勝った理由はどこにあるのでしょうか?
時速200キロのサーブを打つからでしょうか?ベースラインのどこからでも
エースが取れるからでしょうか?ネットプレーが100発100中だからでしょうか?
いや、そうではないと思います。
やはり勝つ事への姿勢・執念、そして我々がいつも言っている
「相手に敬意を払ってぶっとばす」という考えがあるからだと思います。

それに対してコリアの方は、怪我から復帰して体調も万全であり、
去年決勝で負けてる分、今年こそはという思いが強かったと思います。
しかし、アガシとの対戦でジャッジより先に判断してプレーを止めたり、
相手に敬意を払わないプレーを行ない、アガシを怒らせてしまいました。
ここに、人に対する思い、対戦相手と自分との関わり方への考えの
違いがあると思います。

結果、そういった人間力の差が出たのではないでしょうか?
サッカーのW杯予選の時にジーコ監督が同じような事を言っていました。
「サッカーは名前や肩書きで戦うものではない」と。
ナダルもおそらくそういった考えの持ち主だと思います。

テニスはチームではなく個人競技です。
相手の存在、相手をどう考えるかがより大事だと思うのです。
競うという事は相手が必要ですが、最終的にはその相手は自分との戦いの
協力者という考え方ができると良いのではないでしょうか?
この人には勝ちたい、この人にはかなわない等、誰しも経験のある事だと思います。
でもみな試合に臨んでいるという点では同じであり、同じコート上に立った瞬間、相手と自分との間に
上下関係などないのです。
是非、ナダルを見習って楽しみを感じてみて下さい。

フェデラーもウィンブルドン優勝時のインタビューで、
「アンディが良いプレーをしてくれたので、自分のプレーの質も高められた」
と言っていました。
やはり、優勝するプレーヤーはどこか違いますね。