Speaks vol.106
  <<言葉で丸暗記しない>>

レッスンでテニスの技術を伝えるために、
言葉は不可欠です。

例えば「軸の入れ替えで打つ」という内容を言葉で伝えて、
その意味を理解してもらえるように、コーチは努めます。

だけど、「軸の入れ替えで打つ」という言葉を暗記しても、
スキルを使えるようにはなりません。

「軸の入れ替えで打つ」という言葉を頭で理解したら、体で体現し、
「こんな感じ」というイメージをつかむことが大切です。
そのイメージをつかむための手段が、
「軸の入れ替えで打つ」という言葉にすぎない、ということなのです。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、
案外頭で言葉を、丸暗記しようとしてしまう人が少なくありません。

よくあるのが、「分かっているけどできない!」という反応。
これこそ、言葉の意味は理解しているのだけれど、
イメージに落とし込めていない典型例です。

逆もあります。
「あー、こういうことだったんだ!」
これは、いつも言っている「軸の入れ替えで打つ」という言葉は分かっていたけ
れど、
それがイメージに落としこまれた瞬間の反応。

いわゆる「腑に落ちる」という現象で、
こうなるともはや「軸の入れ替えで打つ」と言葉を思い出さずとも、
ちゃんとできるようになるのです。

言葉は便利だけど、言葉の丸暗記だけでは、その先へ進めません。
言葉で理解したことをイメージに落とし込むことが、
スキルをアウトプットするためには必要なのです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広