Speaks vol.02 <<全豪でのサフィンを見て>>
現在、テニス界はシャラポワ・フィーバーですが、
全豪では、残念ながら優勝したセレナに準決勝で負けてしまいましたね。
男子では、No.1のフェデラーを破ったサフィンが、見事優勝しました。
ということで、今回はサフィンに注目して、お話ししましょう。
巷では、練習嫌いで天才肌、波のあるプレイヤーと言われていますが、
彼がジュニアの頃は、スペインに拠点を置き、我々が行っているスペイン式の
練習をしこたまやっていたそうです。
その時に、今の彼のプレースタイルであるパワープレーのベースが出来たのではないでしょうか?
そのパワープレーでフェデラー、ヒューイットをやっつけて優勝した彼を見ていて、
テニスはベースが大事であるということを改めて思い知らされました。
我々も練習を通じて、常に「ベースが大事」と皆さんに言い続けています。
ここで今一度、「ベースとは何か?」ということを考えてみたいと思います。
ベースとは時速180キロを超えるサーブでしょうか?
9割、10割の力で常に打つビックフォアハンドでしょうか?
ノーバウンドなら常に攻撃していく強引なネットプレーでしょうか?
これらは全て、Yesでもあり、Noでもあります。
Yesであるための条件は、これらが10球のうち1球しか入らないというもので
ないということです。
そのようなプレーであれば、たちまちベースとしてはNoと言えます。
ベースになるプレーとは、すなわち「インプレー」でなくてはなりません。
ビックサーブ、ビックフォアハンド、スーパーネットプレー、
これらがほとんど入るのであれば、それで全く問題ありません。
ほとんど入らないのであればNoということです。
皆さんも試合をする時は、プランを考えると思います。
相手のバックに入れて甘く返って来た所を決めにいくとか、
コースを変えて相手のいない所へ打つとか、
左右に相手を振って浅い返球をアプローチして攻撃しにいくとか。
しかし、これらは全てインプレーでの話です。
いろいろな戦術やショットのレベルアップ等は、入るボールが前提で考えていかなければなりません。
男子の試合では、ラリーも少なく早めに勝負が決まります。というのは、放たれたビックショットが
コートに入っているからです。
ベースになるというのは、「続くショット」という意味ではなく、「入るショット」という意味です。
普通に考えると、スピードを落とせばコントロール出来る訳ですから、入れることが出来る。
従って、ラリーが続くということは、ペースが落ちてしまっているということです。
こう考えると、トッププロの試合でのペースの高さが窺えると思います。
これは、才能と努力の賜物と思いますが、我々が学ぶ点も多いのではないでしょうか?
皆さん、こうした思いをしたことはないでしょうか?
最初に強いショットをバーンと打たれて萎縮してしまったとか、
打ち方が変で弱いボールの相手に簡単に負けてしまったとか。
ベースが大事という考え方からしてみると、速いボールが入って来ているのであれば、大変です。
しかし、入っていないのであれば恐るるに足りません。
逆に、打ち方・スピードによって、勝手に「相手は大したことない」と思い込んでしまった時に、
相手がコートに全てボールを入れてくると、意外に大変なことになってしまうのです。
テニスの試合における「ベース」とは、
・インプレーであること
・戦う姿勢(相手に対しても自分に対しても)
・戦術を考える時に、セーフティーでアグレッシブなプレーを考えること
と言えるのではないでしょうか。