Speaks vol.51 <<不安定が当たり前!>>
テニスは、型をキッチリと演じれば勝てるスポーツではありません。
テニスをプレーしていると、ショットを安定させたいという気持ちが、ものすごく強くなる。
でも、その思考は危険です。
逆に、型にはまらずにさまざまなボールに柔軟に対応する力が求められるスポーツ。
型を決める自己完結型の技術がクローズドスキル、
型にはまらない臨機応変型の技術がオープンスキルです。
つまり、テニスはオープンスキルの占める割合がハイアベレージで、
この特性を考えると、安定を求める姿勢がそもそも間違いといえるのです。
テニスにおいて、同じボールは2球来ません。
だから「不安定な中でプレーする」という気持ちをまず持つことが、
非常に大切になります。
型を決めようとするクローズドスキルばかりを磨こうとして、
安定性を求め出すと、どうなるか?
手段と目的を取り違えるという過ちを、犯しがちです。
たとえば練習でラリーを50往復続けようとするのは、
試合でミスしないための「手段」。
50往復続けることが「目的」ではありません。
ところが安定性を求める姿勢が強くなりすぎると、
50往復続けることが目的化する。
でも、試合では当然相手は続けにくいボールを打ってくるものだから、
実際には練習で50往復続けられたという人でも、
試合になると1往復半しか続けられなくなる事態が発生します。
身につまされるところはないですか?
練習だとうまく打てるのに、試合になると打てなくなるというのは、
安定を求めようとしている姿勢に、起因する部分が非常に大きいのです。
「不安定が当たり前」と思う。
これは免れられない事実で、落ち着かないのが本質です。
そこで安定しよう、落ち着こうとするから、かみ合わなくなるのかもしれません。
そういう意味では、練習ばかりをこなすのではなく、
試合に出てみるのが、実はとてもよい練習になる。
早速エントリーしてみましょう。
そうすれば、必ず何かが変わります。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広