Speaks vol.148
  <<コミュニケーション「完全版」>>

前回は、ラリーはコミュニケーションであり、
まずは相手の情報を聞き入れることが重要だと説明しました。

「自分から話そう」
「自分から打とう」とばかりしていては、
コミュニケーションが上手くいかず、
先に自滅してしまいかねません。

まずは「聞く」ことが大事。
これは確かです。
しかし実は、「完全版」ではありません。

内容が矛盾するように思われるかもしれませんが、
最終的に主導権を掌握するには、
そのように受け身でばかりいるのではなく、
相手からの情報を理解したうえで、
自分から「主張」していく必要があります。
この両方がそろって、「完全版」となります。

話が聞けるとは、テニスで言えば、
相手のボールに応じてミスせず打ち返せること。

一方で主張するとは、相手のボールに応じたうえで、
オープンスペースを狙ったり、強打したりして、攻撃していくことです。
この両者のバランスが大切です。

具体例を出すと最近の錦織圭は、
下位の選手には取りこぼし、
上位の選手にも勝てない苦しい戦況が続いています。

実は、僕自身も最近の試合で不調だったこともあり、
錦織がなぜスランプに陥っているか、
同じ境遇だからよく分かります。

「主張できていない」のが原因。
錦織の場合、怪我もあって、心を抑圧する力が働いているために、
どうしても主張しづらい状況のように思えます。

先のウインブルドンではバウティスタ・アグートに対して、
主張もするけど、すぐ話を聞きに行くようなプレーになって、
3回戦で敗退しました。

その前の全仏オープン、アンディ・マリー戦の準々決勝では、
1stセットはガンガン主張して、王者に何も言わせなかったのに、
2セット目以降は、何かをきっかけに主張が弱まり、
話を聞くだけの立場になってしまっていたようです。

僕にも似た感覚があるので、
錦織のメンタリティがよく分かってしまいます。
相手の話を聞くけれど、上手く主張できない、もどかしさ。

次回は、どうすれば主張できるようになるのかについて、
考察してみたいと思います。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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