Speaks vol.131
<<2:6:2の法則>>
グループの割合には、ある一定の法則があるといいます。
「2:6:2の法則」です。
学校のクラスでいえば、
すごく勉強ができる秀才が2割、平均的な層が6割、できない居残り組みが2割です。
テニスでいえば、
上級者が2割、中級者が6割、初級者が2割といった具合のパーセンテージ。
皆さんが所属する集団でも、
おおよそこの割合になっているのではないでしょうか。
そしてここからが面白いのですが、
上の2割がリーダーシップを発揮して、
集団のレベルを底上げするようなタイプの人種であれば、
中間層の6割は、上の2割に引き上げられてグループ全体としての分布が8:2になる。
一方、上の2割が「自分さえ良ければいいや」という自己中の人種であれば、
中間層の6割は下の2割に引き下げられて、
グループ全体としての分布は2:8になるといいます。
ということは、所属する環境によってレベルが変わってくるということが、
ひとつ前提として言えます。
例えば錦織圭は、より競争の激しい環境に身を置くために、13歳で渡米しました。
上の2割に引っ張り上げてもらうためです。
もし彼が、競争があまり激しくない日本に居続けていたら、
ツアーの上位2割に食い込む今の成長は、なかったかもしれません。
海外留学がなかった時代には、名門校である「柳川留学」に、
引っ張り上げてもらうための環境を求めたプレーヤーもいました。
とはいえ、その環境に身を置けば、
自動的に引っ張り上げられるわけではないということが、
もうひとつ知っておかなければならないこと。
塾に行きさえすれば、成績が上がるわけではありません。
海外へ行きさえすれば、英会話ができるようになるわけでもありません。
自分が勉強しないことには、できるようにはならないのです。
環境に依存すると、こうなりがち。
依存というのは、怖いですね。
2:6:2の分布において、ボリュームゾーンの6割は、
上下のどちらかに引っ張られる「依存集団」です。
上の2割が強烈なエネルギーを持っているのと同様に、
下の2割も強烈なエネルギーを放っています。
下の2割りの甘いささやきに、引っ張られないように注意しましょう。
だからといって上の2割に依存すればいいというわけではない。
強いプレーヤーと一緒にいて自分も強くなったような気になる
「虎の威を借る狐」に、依存すると陥りかねません。
競争が激しい環境に身を置くというのが前提としてある。
その上で、環境に身を委ねることなく、
自立して自分なりにアクションを起こしていくことが、
成長する上では重要となります。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広