Speaks vol.127
  <<「コーディネーション能力」を高める>>

自分で自分を操る力、これを「コーディネーション能力」といいます。
スポーツにおいては、自分で自分の身体を思い通りに操れることが非常に重要。
「コーディネーション能力」の高い人が、
テニスでももちろん高いパフォーマンスを発揮します。

こう言うと、
「自分の身体なんだから、思い通りに動かせて当然でしょ!」という人がいます。
しかし、本当にそうでしょうか?

例えば両腕を広げて肩の高さまで水平に上げてみるという簡単な動作。
でも実際にやってみると、若干、低かったり、あるいは高すぎたり、
左右の腕の高さが違ったりする人も少なくありません。

テニスのレッスンにおいては
「この動きをマネして」といって動作してもらうことがありますが、
厳密に言えば、完全にコピーできる人はほとんどいないのです。

みんな、大まかにしかマネできない。
なのに、「追い込まれた状況でフォアのパッシングショットを打ちたいんです!」
というのは不可能なのです。
プレッシャーの負荷が高まると当然、難易度も上がるからです。

まずは、簡単な動作をゆっくりと行なうので構いません。
自分の身体を自分が思った通りに動かせるようになる
「コーディネーション能力」を高めるということを、意識してみましょう。

それこそ「肩の高さに腕を上げる」でも構いませんし、
レッスンでは「最後まで振り切って」と指導することがありますが、
途中で止めるのではなく、自分の中で振り切れるところまで、
振り切るようにしてほしいのです。

そうやって自分の意思と身体がちゃんとリンクしているかどうかを、
まずは確認してみてください。

「コーディネーション能力」を高めていったその先に、
追い込まれた状況でフォアのパッシングショットが打てるパフォーマンスも
表現されるようになるでしょう。

最後に、レッスンでは「この動きをしてください」と伝えても、
今回の話を理解していないと、
「そんなのできるよ!」といってやらずに済ませてしまう人がいます。

これが、最もよくありません。
「コーディネーション能力」を高めるためのコツはいろいろありますが、
いちばんは、まず「やってみる」こと。

スタートのアクションを切れるかどうかが、
その人の成長を左右するといっても過言ではありません。

次回は、「コーディネーション能力」の応用について考えてみたいと思います。
「コーディネーション能力」が高いとは、脳が優れているということ。
さまざまな分野で活用することができます。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広