Speaks vol.124
  <<前方への意識(日常生活編)>>

前回は、テニスに重要な3つのアクションである
「見る=視野」「狙う=目標」「備える=準備」について解説し、
そのどれもが「前方への意識」を基軸として、パフォーマンスが上がるという話をしました。

「視野」はつねに、前へ向けておくことが大切。 
前方に「目標」を定めることで、相手のいないところに打てる、あるいは的に当たりやすくなります。
そして前もって「準備」することで、状況に応じたさまざまな対応ができるなど。

全て「前」、あるいはこれからの「先々」を意識した視点を持つことにより、
自分の能力がアウトプットされるということなのです。

これによってテニスが上手くいくのなら、日常生活にも流用すれば有効的に役立てられるのではないかというのが今回のテーマ。

例えば、「視野が狭い」という言い方がよくされます。
「こうに違いない」と決めつけて、思考の広がりがない人のことを一般的には指しますが、
テニスで上手くいかない人は実際の視野が狭くなっていて、前方向を周辺視野で広く見られない特徴があります。
すると、相手のいるところへ、わざわざ打ってしまうことも。

逆にいえば、テニスで前方への広い視野を身につけることができれば、それは日常生活でも活かされ、先々を見通せるようになる。
実際の視野が広がれば、入ってくる情報量も多くなるから、思考の幅も広がりを見せます。
きっと、いいアイデアなども浮かびやすくなるでしょう。

また、テニスでは狙う場所をきちんと「目標」として定めることが大切だと、前回説明しました。
目標が曖昧だと、コントロールも曖昧になります。

当然日常生活でも言えることで、目標がないと、どこへたどり着く人生なのか分かりません。
将来の目標をきちんと定めることで、無駄なく無理なく、そこへ到達することができるようになります。

目の前の雑事に追われて、目標を見失いがち。
これを機に「どうなりたのいか?」、人生の目標設定に改めて取り組んでみてはいかがでしょうか?

そして「準備」。
テニスでは、相手の返球に備えてポジションを取る。
あるいは試合に向けて準備し、暑さ、寒さ対策を講じるという内容でした。

日常生活においても、「備えあれば憂いなし」などと言われます。
仕事でも、家事でも、勉強でも同じ。

先々を見据えてこれからやることの準備を整えれば、あとは不安なく、最善を尽くして取り組むことができるようになります。
準備不足だから、心配や不安がよぎり、実力を出し切れないのです。

出たとこ勝負の生き方をせず、周到に準備をして事に臨みましょう。
きっと、結果もこれまでと違ったものになってくるに違いありません。

以上、テニスに必要な「視野」「目標」「準備」は、
日常生活でも同じように、それぞれパフォーマンスを高めるための大切な要素であり、「前方への意識」という視点を持つことで、大幅な改善が叶います。

テニスを日常生活に、日常生活をテニスに活かすという双方向の変換に、ぜひ取り組んでみてください!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広