Speaks vol.116
  <<教わる力>>

実力を伸ばすためには、才能やセンスは必要でしょうか?
もちろん、持って生まれた資質の違いはあるかもしれない。
だけど、それらはほんの少しにすぎません。

実力が伸びる人と伸びない人との大きな違いは、
「教わる力」の力量に関わっていると見るのがより現実的と考えられます。

「教わる力」とは、
例えば人の話を聞く力、理解しようとする姿勢、質問する積極性、
もっと精神論的にいえば、もがく、頑張るエネルギーの質と量などと、いえるか
もしれません。

要は、教わったことが分からない、できないからといって、
すぐにギブアップをするのではなく、「それってどういうことなんだろう?」と、
教わるモチベーションを高く保ち続けられるか否かです。

当然、指導者側が生徒のモチベーションを高めるための「教える力」も必要。
それと同様に、上記のような「教わる力」が、生徒側に備わっていれば、
才能やセンスといった抽象的な要素を疑うまでもなく、実力を伸ばしていけるの
です。

よく、「うちの子は運動神経がない」などと嘆く親御さんがいますが、
今回の話を踏まえると、そんなことはないと分かります。
そもそも、自律神経や視神経などと違って、
運動神経という神経は、実在しないのですから(笑)。

むしろ、「うちの子は運動神経がない」と嘆く親御さんの姿勢こそ、
子どもの「教わる力」をスポイルしているというのは、
前回のピグマリオン効果で説明したとおりです
(指導者がかける期待が、生徒の成績に影響を及ぼす)。

同じレッスンを受けても、伸びる子と伸びない子、
伸びる人と伸びない人がいるのは、
「教わる力」の力量が、大きく関わっています。
才能やセンスを疑うよりも前に、「教わる力」を見直しましょう。

それが先述した、
人の話を聞く力や、理解しようとする姿勢、質問する積極性など。
もがく、頑張るエネルギーの質と量です。

これらは、努力しだいでいくらでも強化していくことが可能。
「教わる力」を発揮すれば、テニスはもちろん、
ほかのあらゆる分野でも、実力を伸ばしていけるようになります!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広