Speaks vol.115
  <<ピグマリオン効果の応用>>

教師の期待によって、生徒の成績が上下する。
これを、ピグマリオン効果といいます。

子どもたちに対して知能テストを実施し、
成績の良いグループと、
成績の悪いグループに、振り分ける実験を行いました。

しかし、授業を担当する教師には、
成績が良かったグループに「悪かった生徒たち」、
成績が悪かったグループに「良かった生徒たち」と逆の結果を伝えたところ、
しばらくすると、「良いと伝えた方(実際は悪かった方)」の成績は上がり、
「悪いと伝えた方(実際は良かった方)」の成績は下がったといいます。

教師の思い込みから、生徒に対する指導のあり方が微妙に、
それこそ無意識のレベルで変化したのだと考えられます。

「良い」と伝えられた方の教師は、「この子たちはできるはずだ」と思い込み、
「悪い」と伝えられた方の教師は、「この子たちはどうせできない」と思い込ん
だわけです。
その思い込みにより、さりげない表情や何気ない言動が変化した結果、成績が逆
転しました。

一方子どもたちも、自分にかけられる期待を敏感に察してやる気を出したり、
逆にやる気を失ったりしていたということです。

これは、教師と生徒の関係について調べた期待と成果の相関関係ですが、
実は「自分との関わり」についても、
同様の効果が期待できると考えられます。

つまり、「俺ってなんてダメなんだ…」と思い込むか、
「俺ってなんてイケてるんだ!」と思い込むかで、
成果がまるで違ってくるということ!
当然後者の方が、モチベーションが高まるというわけです。

しかも、人からの期待はすぐには変えられないとしても、
自分に対する自分の期待は、今すぐに変えられます。

人は思い込みの動物です。
いかに良く思い込めるかどうかが、
結果の出来不出来を左右するといってよいでしょう。

そのための、自己啓発や、成功法則、メンタルタフネスなどの情報が、
世の中には溢れ返ってはいるけれど、
まずは身近なところから始めてみてはいかがでしょうか?

マラソンの有森裕子選手は「自分で自分を褒めたい」と言いました。
あんな感じです。
「俺には褒めるところなんかない」なんて思わずに、
「今日1日よく働いた!」と、自分を褒めてあげるのです。

1日、結構大変だったに違いないじゃないですか!?
そんな些細な成功体験に気づき、
「俺って結構イケてるじゃん!」と自分に対する期待を
少しずつでも高めていけるようになれば、
パフォーマンスの向上が見込めるはずです。

どうか、これを読んでいる1人でも多くの方々に、
ピグマリオン効果が現れますように!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広