Speaks vol.110
  <<上達力>>

なぜ同じ練習をして、
上達する人と、しない人がいるのでしょうか。
それは、「上達力」の違いだと説明することができます。

テニスが上達したいのであれば、
まずは仮にでも、ゴールを設定しておくということが大切です。
何の目標もなく練習をただ繰り返すのではなく、
例えば「トップスピンが打てるようになりたい」というゴールを、
まず明確にするのが「上達力」のベースです。

日々の練習で、明確なゴールを持ってテニスに取り組めているでしょうか?
今一度、確認してみてください。
この部分でまず、上達する人と、しない人とが区別されます。

次に、目標とするゴールが定まったら、
立ち止まらないようにすることが重要です。
上達しない人は、ミスするたびに、立ち止まる。

「これではダメだ」「どうして上達しないんだろう」といって、
練習を停滞させてしまうのです。
そうすると、結局ずっと、その場にい続けることになってしまいます。

英語ができるようになりたければ、何よりもやり続けることが大切。
言い間違えたり、聞き取れなかったりしたからといって、やめてしまっては、
やはりいつまで経っても、英語は身につきません。

目標のゴールを見据えたら、
ミスしようがしまいが、あとは歩みを止めずに進んでいけばよいのです。
これが、着実に上達する人なのです。

ただし、ゴールに向かう手段が間違っているというパターンもあるので注意して
ください。
どういうことかというと、「こうすれば上達するであろう」という仮説が、
そもそも誤っているケースです。

例えばトップスピンの例でいえば、
「ラケットを立ち上げながら打つ」というのはアリだけど、
ボールが面から離れたあとに、どんなに立ち上げてもそれはダメ。

そうすると、どんなに実践してもトップスピンはかからないから、
やればやるほどスイングはどんどん不自然になっていき、
「トップスピンが打てるようになる」という本来のゴールからますます遠のいて、
おかしな方向に行ってしまいます。

ゴールを明確にし、それを達成する手段が間違いないものであれば、
その道を突き進んでいけば人は必ず上達します。
歩みを止めたり、誤った手段で取り組んだりするのが上達しない原因。

まず、ゴールを設定してください。
これが一番重要で、何よりも先にやるべき上達するための優先課題です。
ゴールを設定すれば、道は自ずと開けてくるのです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広