Speaks vol.109
  <<変換力>>

テニスのレッスンを受けて、
テニスが上手くなるだけでは、正直もったいないです。
本質的な学びは、あらゆるジャンルで普遍的なもの。
そのノウハウを色んなことに置き換える「変換力」を身につけましょう。

例えばテニスで新しい「スライスサービス」という技術を開発したいとします。
これは、言ってみれば「新商品開発」です。

それを作り上げるには、どんな開発技術力が必要か?
練習という「試作」を重ねます。

また、コートに入らないとその商品は世に出せないから、
「品質チェック」をして、使い物になるように精度を上げる努力が必要です。

そして、その商品のターゲットはというと、
市場としては遅いサーフェスよりも、速いサーフェスの方が、
「ニーズ」は高いだろうと見込めます。

さらに、売り方はというと、
同じ商品でも昼よりも夜の方が売れるという傾向があるように、
1stよりも2ndサーブで効果的という「マーケティング」についても考えられるか
もしれません。

このように、商品開発をテニスに置き換えることができるし、逆もまたしかり。
スライスサービスを身につけた方法論を応用して、
商品開発に役立てられるわけです。

「変換力」を身につけると、あらゆる分野から学びの機会を得て、
自分のバージョンアップに活かすことができます。
よく「遊んでばかりいないで勉強しなさい」とは言うけれど、
「変換力」を駆使するならば、
遊びの中から勉強を楽しむ工夫を発見できるかもしれません。

人はみな、自分が携わるジャンルを通じて、物事を学びます。
自分なら、テニスというフィルターを通じてビジネスの話を取り入れようとします。
テニス好きの八百屋さんなら、八百屋というフィルターを通じて、
ショットの打ち方や使い方を習得するのです。

だったら、そのフィルターの性能が良いほど、
理解はよりクリーンになるに違いありません。
自分が携わっているジャンルのレベルが上がると、「変換力」も高まります。
この力を活用し、あらゆる分野から学べるようになると、
人はどんどん成長していけるのだと思います。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広