Speaks vol.108
  <<質問しよう>>

レッスン後に、コーチに質問してくる人と、
あまりしてこない人と、傾向は大きく二分されます。
上達するのはもちろん、質問してくる人です。
質問できることが大切なのです。

だけど例えばAさんが質問してきて、コーチがそれに応える時、
脇で一緒に聞いているBさんにとっては、
その回答はあまり意味がありません。

Aさんにとっては、質問する前に疑問があって、
それを解明したい思いがあるから、回答が腑に落ちます。
疑問がないBさんが、
答えだけを聞いても勉強の問題が解けるようになるわけではないのと同様に、
ほとんど意味のないことなのです。

「質問力」という言葉があります。
質問の内容で、その人がどのレベルにいるかが分かります。
「どうやったら上手く打てますか?」という質問と、
「身体を細くして打つボレーの2軸の入れ替え方は?」という質問とでは、
後者の方が、圧倒的に質問力が高いことが分かります。

もちろん、レッスン直後に質問できなくても構いません。
人によっては、じっくりかみ砕く時間も必要。
かみ砕いてきた疑問を、次のレッスンの時などに、質問すればいいのです。

質問できないのには
「恥ずかしい」「こんな質問をしたら笑われるかも」といった、
二次的な理由もあるでしょう。

だけど「ことわざ」というのは本当によくできていて
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」です。
聞いて、一時は恥をかいても、進歩すれば恥ではなくなります。
聞かずにずっと停滞している方が、むしろ恥です。

身近にある些細なことで構いません。
疑問に思ったことを、自分の言葉で質問してみましょう。
その機会を増やしていけば、
上達のチャンスは必然的に増えていくはずです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広