Speaks vol.107
  <<ミスの原因を考えよう>>

レッスンでは、厳しい口調になることもよくあります。
それは、何とかして生徒の皆さんに、
できるようになってもらいたいから。

だから、「これでいいんでしょ」といったように説明をサラリと受け流されてし
まうと、
「それじゃダメ!」「正確に動きをコピーして!」と、
口をとがらせることもあります。

伝えていることが上手くできないのは、
何か違うことを意識してしまっているから。

動きの質を高めるのが目的の練習なのに、
できない人の中には、バックアウトしないことに注意を払っていたり、
スピンをかけることに興味が向いていたりする場合が少なくありません。

そういう人に、「今なぜミスしたの?」と聞くと、
「ミスしちゃったから…」と、抽象的な答えが返ってきます。
このように、原因が分からないままミスを繰り返す例は非常に多いのです。

ミスしたら、「どうやったらミスがなくなるだろうか?」
という具体的な方法論を考えてみることが大切です。

フォームが間違っていたのか?
打点に入れていなかったのか?

その答えは、必ずしも正解でなくても構わないけれど、
漠然と「ミスしちゃった」で終わらせるのではなく、
具体的に改善できる学びをそこから導き出すことが重要なのです。

ミスするのには、必ず何かしらの理由があり、
その原因さえ解明すれば、上達するのですから。

もちろん、テニスの場合は1+1=2という、単純で明快な解答などありません。
だからこそ、自分なりに考えてみることが、とても大きな意味を持ちます。

次にミスした時に、ミスをサラリと流してしまうのではなく、
「自分はなぜ、ミスしたんだろう?」
「今のミスは、どうやったらなくなるんだろう?」と考えてみてください。
その時に正解は得られなくても、そうして考える習慣を持つことから、
新たな上達は始まります。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広