Speaks vol.105
  <<アレンジしない>>

打ち方を指導するのが、テニスレッスンのひとつの目的です。
「こうやって打ちましょう」と、コーチが生徒に伝えます。

特別難しいことをやってほしいと、お願いしている訳ではありません。
その人のレベルに応じて、現時点でできるはずのテクニックを、
お伝えしています。

「こうやって打ちましょう」とお伝えしたことを、
まずは「そのまま」やってみてほしいのです。
ところがそれを、自分に合うようにアレンジするのが良いと思っている人が、
非常に多くいるのです。

しかしそのアレンジはもはや、
「こうやって打ちましょう」の原型をとどめておらず(笑)、
自分流になっています。

自分流というと聞こえはいいかもしれませんが、要は我流。
まずはレッスンで示された原型をかみ砕いて、
そのあとに自分流のアレンジを加えるという順番が大切なのです。

なのに、原型をかみ砕き切る前に、
自分流の味付けを加えるから、
いつまでたっても未消化の状態が続いてしまうのです。

オリジナルを、まずはちゃんとやってみること。
それは、言い換えれば自分流のアレンジを一切加えずに、
モノマネするということです。

仕事でも、新入社員時代にいきなり
自分流のやり方というのは、しないと思います。
上司のやり方をマネてみて、それができてから、
自分なりのアレンジを加えるという順番ではないでしょうか?

まずはモノマネでいいから、
自分流のアレンジを加えずに、オリジナルをそのままやってみてください。
その方が、よっぽど速く上達するはずです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広